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腹部の痛みに思わずその場へ座り込むと、開いたドアから出たきた藍川さんは目を見開いたまま目の前のその男を凝視していた。
先生…?
学生時代の教師、…ってことか?
「あぁ、テレビに映る通りよく育ったね。」
「…どうして、ここに。」
「いつ君が家に帰ってきてくれるのか、と毎日誘いに来てるんだ。君は何度チャイムを押しても出ないからな。お土産付きで。」
「帰って、…ください。…もう来て欲しくありません。」
「随分まともな口を聞くようになったんだね、う…」
「っ、名前を…!!名前を、…呼ばないで、ください…っ…」
藍川さんは声を張り上げると真っ青な顔で首を振った。
この男は何者だ…?
会話の流れをイマイチ掴めない。
ただ、このままこの男と藍川さんを接触させるのは危険だ。
「藍川さん、中に…」
「なぁこの子、君の恋人かな?」
「……違い、ます。仕事の…知り合いで。」
「へぇ。…ねぇ、家に帰ってこいで。君の本はどれもこれも退屈だよ。…ね。
ほら、…やっとそれらしい身体になったんだ。今ならもっと可愛がってあげられる。」
「っ、…俺は、…っ…」
男の手が藍川さんの腰へ触れると、撫でるように動き回る。
藍川さんは目を見開いたままただ首を振っていた。
俺が、助けないと。
「やめろ、…っ藍川さんから…離れろ。」
「殺すぞ。」
一歩進んだのと同時に男の足に蹴り飛ばされ体が地面を突き飛ばされる。
…くそ、暴力になんの躊躇いもないらしい。
「なぁ。コレも弟みたいにしたくなかったら、家に帰って来い。一番にかわいがってやる。」
ネットリとした声が暗い夜に響く。
何だっていい。
今は、この人を助けるしか選択肢はない。
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