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偉い人を家から追い出してリビングへと戻る。
今日はうっかりあまり良くない面を見せすぎた。
俺も、今はかなり調子が悪いらしい。
不安そうな顔で俯くその子を見て何も言わずに向かいに座った。
「ごめんね。」
「…いえ。俺こそ、すみません。知られたくないって言ってたのに。」
「気にしないで。ふふ、聞いても面白くなかったでしょ?全部そんな感じだよ。退屈なお話。」
「面白い、とかじゃないです。俺は貴方を支えたいと…思った。」
一人前にそんなことを言う彼の唇は震えていた。
君がそんなに言うなら 俺の話をしてみようか。
君も 誰かと同じように
俺を知って悲鳴をあげて逃げるかもしれないのに。
いや それなら
「小波くん。」
「…はい。」
「俺の話、しようか。面白くない話。誰にも話したことのない話。
嘘かもしれないし本当かもしれない。俺しか知らないから俺しかそれはわからないよ。」
「いいん、ですか……?」
「その代わり。」
不思議そうな顔をするその子を見て笑ってしまう。
まるで百面相。
喜怒哀楽が激しくて子供みたいだ。
こんな子だから、俺はこんなおかしな事をしようとしてしまうのかもしれない。
「その代わりね。1つだけお願いを聞いてくれないかな。」
「お願い…?」
「うん。それ今じゃないし遠い未来かもしれない。一つだけお願いをする権利をくれないかな。」
「…わかりました。どんな事でも聞きます。」
「ありがとう。」
できるだけ綺麗に笑って見せる。
つまらない
誰も知らない 少し昔のお話。
「俺が生まれたのは 小さなアパートの一室だったんだ。」
そんな 俺の話。
(次から過去編)
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