アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
毎日、同じ時間を過ごしてた。
でもそんな時 僕よりも小さな人が僕の家に来たんだ。
「秋。お前はお兄ちゃんになるんだ。」
「……ぅ、…?」
「お兄ちゃん。」
「…おにい、ちゃん。」
「そう。お兄ちゃんは、お前。」
「しゅ、…ぅ。おにいちゃん。」
「そう。」
ママが僕の頭を撫でてくれる。
すっごく、久しぶりに。
嬉しくて目あげるとママも少しだけ優しい顔をしてくれる。
ママは小さな人を床へ置くとその横に色んなものを置いていく。
見たことあるものと、見たことないもの。
僕はわからなくてママを見上げた。
最初に小さな人を指さすと
「コレの名前は春。」
と言った。
「…しゅん。」
「そう。」
次々に一緒に置いたものを指さしていく。
「コレが泣いたら、コレをお湯に溶かして熱くなくなくなったら飲ませる。」
「…ん。」
「コレが臭くなったらコレを脱がせて、コレを履かせる。」
「ぅ、……?」
「今はそれだけでいい。あぁ、あと。」
僕はママを見上げてじっと見る。
これをちゃんとできたら、僕褒めてもらえるのかなぁ。
でも ママはもう優しい顔じゃなくていつもの怖い顔になって
「コレが泣いたら静かにさせろ。特に、誰かが来てる時は。いいな?」
「…ん。」
それだけ言うとママはまたお姫様になっていなくなっちゃった。
僕は春の身体にそっと触れてみる。
小さくて暖かくて細い体。
「ぅ、…え、…秋、だよ。」
春は何も言わない。
僕もそれ以上何も言わなかった。
朝になったらママが帰ってくるから。
それまで 今日からはふたりぼっちだね。
5つになった頃。
弟が生まれた。
弟は小さくて、発育が悪くて。
俗に言う未熟児ってやつだった。
本当は病院で看てもらうべきだったはずだけど俺の家は何故か特別な事もなく家にいた。
きっと とてつもなく貧乏だったんだと思う。
それがどうしてかっていうのはもう少しあとにわかるんだけど。
俺は母親に言われた通り毎日泣いたらミルクをあげて、泣いたらオムツを変えて、泣いたら寝ずに抱っこしてあやした。
可愛くて 大切で この子は大きくなるようにするんだーって。
そう 毎日頑張ってたんだ。
***
春(シュン
藍川さんの弟くん。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
102 / 208