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少しずつ時間が過ぎて、僕の悪い頭も少しずついろんなことを知った。
お外が白からピンクになって大きな木が揺れる度にピンクが降るの。
先生は僕に「これは春だ。」って教えてくれた。
その後
夏 が来て
秋 が来て
冬 が来て
もう一度春が来て。
僕はお部屋や廊下から外をいつも見ていたけどやっぱり外に出たことは無かった。
でも前のお家よりこのお家はずっと広くて色んなところに行けるし、それに色んなものを見れるから少しも退屈しなかった。
でもなんだか不思議だった。
同じ歳のお友達は背中に大きな四角いリュックを背負って朝のうちにどこかに行って、昼は僕一人になるから。
「先生、皆はどこに行くの?」
「学校だよ。」
「がっこう…?」
「頭が良くて、イイコだけが行ける場所。」
「…僕はいつ行けるの?」
「憂くんは頭が悪くて、悪い子だからずっと行けないよ。」
「でも僕もあのリュック欲しいよ、お外にも行ってみたい。」
「黙れ。」
先生の手が僕の体を突き飛ばす。
痛いよ、どうして?
見上げると先生の大きな手が僕のほっぺたに何度もグーでぶつかる。
痛い、痛い。
僕は頭が悪いから。
だから 叩かれるんだ。
頭が良くなりたい。 僕だって皆みたいに。
「ごめんなさい、っ…ごめんな、さぃ…っ」
「…憂くん。この家の中で君だけは生きる価値がない。」
「か、ち……?」
「憂くんはゴミと同じ。忘れないでね。」
「…はい。」
少しずつわかったんだ。
僕、きっと いらなかった。
だってママだって僕のこと嫌いだった。
春も 僕のこと嫌いなのかな。
…どうして僕は こんなに頭が悪いんだろう。
真っ赤になってヒリヒリするほっぺたを両手でおさえる。
もう 怖い事はやだ だから お話はしない。
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