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「憂くん。」
「……はい。」
「今日から弟と同じ部屋で暮らすんだ。弟の面倒は君が見るんだよ。」
「藍、と……?」
「うん。」
僕が9つになった頃。
やっと藍に会えることになった。
藍は僕を覚えてるかな。
藍はもう話せるかな。
そんな事を考えていた。
あの日から、僕はほとんど人とお話しなくなった。
話さなかったら殴られたり蹴られたりしなかったし、怒られる数も減ったから。
「ただし、藍くんは手足が動かない。
全部君のせいだ。」
「…ぇ、……?」
「責任を持って弟の面倒を見るんだ、わかったね?」
「…はい。」
僕のせいで 藍は手足が動かなくなった?
頭がくるくる回る。
どうしよう。
なんて考えてたのに、先生は僕の背中を押して最初の部屋に突き飛ばす。
膝をついて床へ転がると目の前に少し大きなベビーカーがあるのに気付く。
「藍、……?」
「…お兄ちゃん!」
「わかるの?」
「うん、お兄ちゃん!僕は藍!」
「よかった…忘れてるかな、って…思ってたから。」
立ち上がって藍へ駆け寄る。
藍は大きなベビーカーに手足が固定されていて顔は笑顔だけど他はほとんど動かない。
本当に 手足が動かないみたい。
僕は藍の小さな手に触れて
「寒くない?」
と聞いた。
藍は同じ笑顔で
「何も無いよ!」
と言った。
俺が9歳、弟が4歳の頃。
ようやく俺達は再会した。
弟の手足が動かないのも感覚がほとんどないのも本当は俺のせいじゃなかった。
…けどそんな事子供にはわからないし。
まんまと騙されて俺はそれからもその事で何度も責められた。
それから俺と弟は一緒に暮らしていくことになるんだけど…
それからが俺がこの仕事をする様になるきっかけになるんだ。
「大丈夫?疲れてない?長い、…よね。」
「…いや、全然。その…えっと、…どんな顔して聞けばいいのかわからなくて。」
「あはは、笑顔で聞いてくれていいんだよ。困らせたくて言ってるわけじゃないし。」
「あの。質問なんですけど…この先生っていうのがこの前の…?」
「その通りだよ。先生にはこの先もたくさんお世話になるんだけど…休憩挟む?」
「いえ…っ、続きを…お願いします。」
「はい、了解しました。」
(まだまだ続きます
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