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藍を寝かしつけて、布団をかぶせる。
僕もそろそろ寝ないと。
明日もちゃんと起きて…ご飯食べて。
お箸の持つ練習しないとまた怒られる。
そう思って藍のベッドから離れようとした時、キュゥ、とお腹が痛くなる。
知らないような痛さ。
「ぅ"、…っ…」
そのまま倒れ込むみたいに床に崩れる。
痛い、痛いよ。
これもお仕置き…?
お腹を抑えてギュッと目を閉じる。
朝が来ればきっと大丈夫。
そしたら治ってるはず。
大丈夫、大丈夫だから。
「お兄ちゃん…?」
「藍、…っ…」
「どうしたの?どこか痛いの?」
「…お腹、痛くて。」
「えっと…痛いの痛いの飛んでいけーっ!」
「ん、……?」
藍がそう言って笑った。
僕はよくわからなくて首を傾げる。
何かの呪文…みたい。
「痛いの痛いの飛んでいけーって言ったらね、痛くなくなるんだよ。魔法の呪文!幼稚園の先生が言ってた!」
「そう、なんだ…。痛いの痛いの…飛んでいけ?」
「うん!」
お腹をおさえてもう一回言ってみる。
少しだけ…痛くなくなった、ような。
藍は僕より年下なのに色んな事を知ってる。
僕も…藍みたいになりたい。
「ね、藍。」
「なぁに?」
「お外で見たものとか、知ったこととか。お兄ちゃんに教えてくれないかな。」
「いいよ!でもどうして??」
「お兄ちゃんは外に出られないから。」
「わかった!」
僕は馬鹿だから。
お外には出られないし、幼稚園にも学校にも行けない。
だから代わりに藍に色んな事を教えてもらえば少しずつ馬鹿じゃなくなるかもしれない。
そしたら先生に怒られる回数も減るかも。
そんな事を考えているうちに藍の寝息が聞こえてくる。
僕もお腹をおさえたまま布団に入る。
「痛いの、痛いの…飛んでいけ。」
魔法の呪文があるからもう大丈夫。
ぼく いい子になれるかなぁ。
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