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「小波くん、俺は何を手伝おうか?」
「えーっと……」
「何も手伝わせたくない、みたいな顔やめてよ。俺だって指示されたことくらい出来るんだから。」
「いや分かってるんですけど…じゃあ、玉ねぎの皮剥くのお願いします。端はもう切ってるんで引っ張るだけです。」
「任せて。ええと…どこまで向けばいいんだっけ?」
「緑が無くなるまでです。」
最低玉ねぎは剥きすぎても回収できるからなんとかなるはず。
その間に剥き終えたにんじんとジャガイモを切っていく。
こんな風に藍川さんと台所に並んで立つ日が来るとは思ってなかった。
…新婚、みたいになってたり…はしないか。
「出来たよ。」
「はい、…おおお…?ちゃんと剥けてます…」
「あはは本当に信用ないなぁ。」
まな板の上には綺麗に剥けた玉ねぎ。
いや、そうだよな…成人男性が玉ねぎ剥けなかったらやばいよな。
褒めて、なんて言いそうな顔で俺を見つめる藍川さん。
…どうやって褒めるべきなんだろう。
「すごいですよ。流石です。」
「ふふん、そうでしょ?俺だってちゃんと出来るんだよ。」
「前以上に見直しました。それじゃ後は俺がやるので藍川さんは…ええと、お皿のセレクトをお願いします。」
「はい、任せてください。」
嬉しそうに笑う藍川さんは無邪気な子供みたいだ。
前までは気にしてなかったこともあの話を聞いてからじゃ全部どこか悲しくなる。
これも小さい頃褒められてなかったからなんだろうか。
いくつもあるお皿を出しては直して笑顔で選ぶ姿は、本当に子供みたいで。
「貰い物ばっかりなんだけど。あんまり使ったことないからこの子達も喜んでる。」
「お皿って喜ぶんですか…?」
「喜ぶよ。」
この人の隣にいればいつまでも楽しいまま生きていけるんだろうな、といつも思う。
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