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天才作家
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1人きりの部屋に帰り、玄関へそのまま崩れ落ちた。
「…はぁ。」
まださっきの事が信じられない。
俺は一体何をしでかしたんだろう。
藍川さんにあそこまで嫌われるとは思っていなかった。
何をしたのか、心当たりがありすぎて分からない。
過去を聞き出されるのも、無理やりにキスやハグやもっとその先まで押し切ったのは確実に俺の問題だ。
…でも、今日のついさっきまで何も無かったのに。
『ありがと。』
そう言って優しく笑ったあの顔は、怒りも悲しみも見えなかったのに。
…あぁ、元々あの人はポーカーフェイスだっけ。
スーツがシワになるのも気にせずにそのまま壁へもたれ掛かる。
俺、このままクビか。
それならもう実家に帰ってバイトでもしながら家事手伝うか…。
そんなことを考えていたらポケットに入れたままの携帯が振動を始める。
「…はい、小波です。」
『俺だ。元気か?』
「まぁ…はい。」
『死にそうな声してんぞ。質問だが、お前有給とってるか?』
「取ってません…けど。」
『よし、明日から20日間お前は有給取れ。』
「はい…!?」
いきなりの上司からの電話だけでも充分面食らったのに、発言に思わず聞き返す。
この業界に入って有給を取れることすら期待してなかったのに20日間連続ってどういうことだ…?
「…あ。有給とるだけ取ってクビですか…?」
『はぁ?何考えてんだが知らないがお前をニートにするつもりはさらさらねぇぞ。20日間ゆーーっくり休んでそっからはまたバリバリ働いてもらうぞ。』
「いいん、ですか…?」
『あぁ。藍川には縁がなかったと思え。元々アイツは変わってるからな。』
「…はい。」
『有給中の一つだけルールだ。会社には来るな、会社と藍川には連絡をするな。俺にもな。』
「わかりました。」
『それじゃあな。』
プチ、という電話が切れる音にそのまま目を閉じた。
どうやらクビだけは避けれたらしい。
…明日から4週間も休みって何したらいいんだ?
今日はこのまま寝てやろう、とゴロンと床へ体を任せる。
あぁ これじゃ藍川さんに床で寝ちゃダメですよって叱れないな。
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