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「俺は藍川さんの本が作りたいんです!!」
「あーーやかましい!お前は新人作家の原稿集めの仕事をするって決まっただろ!?新人社員が我儘言うな!!」
「…っ、なんでですか…!俺は、…っ」
「はい、ストップな。」
俺は、あの人の本が好きなんだ。
そう言おうとしたのと同時に後ろから髪を引かれて無理やり引き戻される。
振り向いた先には出版長。
手には藍川さん宛のファンレター。
「えー、小波光。」
「…はい。」
「お前には名誉な仕事をやろう。」
「…藍川さん関連ですか?」
「もちろんだ。それにお前にしかできない。」
「本当ですか…!?」
その言葉に思わず編集長の手を振り払って向き直る。
藍川さんに関われる。
それならどんな仕事でもいい。
例え、それが間接的なものでも構わない。
「藍川は大人気作家だ、それどころかタレントとしても大人気。となると…この大量のファンレターが届くわけだ。」
「はい。」
「それの中身を見て、危険な物や誹謗中傷的なものを取り除いて綺麗なものだけを厳選しろ。それは後々藍川の元へ送られる。簡単だろ?」
「藍川さんの…やります、精一杯やります…!」
「よーし決まりだな。これ以上駄々こねんじゃねぇぞ。」
「はい!!」
本にも本人にもかかわれないけれどこれなら実質藍川さんに関われていることになる。
それならまた少しでも近付けるかもしれない。
今はとにかく あの人から離れていくのが耐えられない。
俺は大量のファンレターやプレゼント受け取り指定された部屋のディスクへ座った。
俺はあの人に嫌われたから、もう出会うことも出来ない。
それなら 見えないところでもあの人に関わっていたい。
触れていたい。
「…今は、それでいい。」
少し前が近過ぎただけなんだ。
藍川さん。
だんだん 記憶の中の貴方が霞んでいくんです。
テレビの中の不自然なくらいに綺麗な貴方で上書きされていくんです。
いつか 霞んで見えなくなる前に
また 出会えますか??
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