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幾つもの食器を食器棚へ片付けていると食器の下、箱の一番そこに1通の手紙が入っていた。
…最後の一つかな?
一度ソファへ座り手紙の封を開ける。
白い封筒に白い便箋、中には整った真四角の文字が並んでいる。
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藍川さんへ
いつも応援しています。
どの作品も、どの話も全て好きです。
僕は貴方のように魅力的な文も話もかけません。
いつか貴方に近付きたくてずっと勉強してきました。
けれど少しも近付けはしなかった。
それでも貴方を応援し続けます。
ずっと、1番に応援しています。
また貴方の文字に触れられる日々が幸せです。
貴方の 小さな光になれますように。
貴方の一ファンより
""
どこの誰が書いたかもわからない文字をずっと眺めていた。
ありがたい言葉だ、本当にありがたい。
優しくて嬉しい。
でも、それだけじゃない。
何か 何か大切な物を忘れてしまっているような。
この文字は この暖かさは。
「…うーん、…眠い。」
便箋を机に投げ出してソファへ体を預ける。
何かを忘れてしまった気がする。
数分前まで、とても大切にしていたもののはずなのに。
思い出せない。
ええと、そう。
誰か…誰か、大切な人だった気がする。
目を閉じると 真っ暗な闇に飲まれて記憶が薄れていく。
あぁ 俺は昔から。
記憶が柔すぎる。
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