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ある日、女教師がすごい形相でうちの会社に持ち込んできた原稿があった。
「こんな才能、眠らせておくわけにはいかないんです。」
そう言われて読まされた物は原稿用紙に書かれた平仮名の多い小説。
だが、それは見たことの無いくらいに綺麗な話でこの世にないくらいの才能の塊だった。
俺は二つ返事でこれを書いた人に会いに行くことを了承した。
女教師に連れられてきた孤児院は、ここらで一番大きい施設だった。
子供は100人近くいるし職員もそれ相当にいる。
途中ですれ違った子供は別にそんなに貧相には見えなかったからまぁその子供もヌクヌクと育ってきたんだろうとその時まで思っていた。
インターホンを鳴らすとエプロンをつけた優しそうな女の職員が門までやって来て笑顔で頭を下げる。
「何の御用でしょうか?」
「憂君はいますか?その子に会いたくて…」
「…憂君?」
職員はそう言い返すと険しい顔をし、しばらく何も答えなかった。
女教師はそれを見越していたかのようにさらに言葉を重ねる。
「会えない理由があるんですか?」
「いえ、…少しお待ちください。」
「…俺達は別に教育委員会やら児童施設の者じゃない。」
「…お待ちください。」
変に警戒されないように、と口を出したがそのまま施設へ入っていってしまった。
どうやら訳ありらしい。
横目で女教師を見ると目を閉じて呼吸を整えていた。
あの話を書いた 憂 という人物は一体何者なんだ?
考えても全く検討がつかない。
煙草でも吸おうかとポケットに手を突っ込んだ時、さっきの職員が駆け足で門へ近付くと
「お入りください。」
と言い、硬い表情のまま門を開けた。
俺達は女教師を先頭に施設へ入っていく。
玄関まで来るとここで待つようにと指示されそのまま言われた通りに待っていた。
時たま通る子供は楽しそうに笑っていたり走り回っていく。
最近の孤児院ってのは裕福なのかもしれない。
なんて 思っていたのはその時までだった。
次の瞬間、早歩きで俺達の前に現れたのは痩せこけた明らかに不健康そうな子供だった。
衣服はくたびれ服から伸びた手足は細くて今にも折れそうだ。
クマのできた顔は何かに怯えているようで片手を口に当てたまま悲しそうな目で俺を見上げる。
まるで 「たすけて」 なんて言い出しそうな目だった。
☆
こんにちは、らいおんです。
私が書かせていただいている
「君の心の覗き方」「捨て犬隣のない探偵」「霞んで見えない」の三作品をごちゃ混ぜにしたお話や番外編、小話、R18などを詰め込んだ小説を公開させて頂きました\( ˆoˆ )/
「それでも僕らは生きている」
彼らをゆるっとなんとなく書いた飛び出したお話です。
よかったらこちらも合わせて読んでくださいね*
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