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営業を終えて昼休憩のために自分のディスクへと戻ってくる。
今日は帰ったら9時から藍川さん原作の新春ドラマがある。
そのために今日を生きてきたようなもんだ。
「おい小波、ちょっといいか?」
「はい?」
携帯を見ながらそう思っているとふと吉田さんに呼び出される。
食べかけていた弁当の箱を閉じて編集長と書かれたディスクまで行くともう少し寄れと手招きをされる。
「もうすぐ藍川の映画が始まるだろ。」
「そうですね。」
「まぁなんだ、…熱狂的ファンの小波でも流石に舞台挨拶のチケットは取れなかったらしいから俺権限で招いてやろうかと思って。」
「え!?」
思わずそう大声を出すと一瞬周りが静まり返る。
慌てて口を抑えると吉田さんは楽しそうに声を上げて笑った。
「そんなに嬉しいか。」
「いや、そりゃもう…」
「それはよかったな。関係者席だから真ん中通路の一番前だ、よく見えるだろうな。お前からも、向こうからも。」
「…よく、見え……」
藍川さんから良く見える?
って事は、もしかしたら認識されるかもしれない。
いやそんなに期待するべきじゃないのもわかる。
でも、もし…もしかしたら。
「うちわ、作っていこうかな…」
「馬鹿かコンサートじゃないんだぞ。」
「冗談です。でも楽しみです、本当にありがとうございます…!」
「あぁ。まだ半月はある、恩は仕事で返せ。」
「はい!」
まだ先とはいえ藍川さんを直接見られる。
これ以上幸せなことはもうきっとない。
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