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偉い人に連れられて控え室へ押し込まれる。
いつもの楽屋と違ってパイプ椅子と折り畳み机しかない簡易的な部屋だ。
まぁ、映画館に楽屋なんて普通はないしね。
「10時頃に一旦舞台での確認がある。その後11時半から開始だ。」
「わかりました。」
「俺は真ん中通路の一番前の席で見てるから…まぁ、不安になったら覚えとけ。」
「はい。」
それだけ言うと偉い人は忙しそうにどこかへ向かっていってしまった。
俺はよく知らないけど、俺の仕事の管理は全部あの人がやってくれているらしい。
ありがたい話だ。
まぁその代わり、お給料はガッツリ引かれてる訳だけど。
机の上に置かれていたお弁当を貰おうと手を伸ばした所でコンコンとノックが聞こえた。
「はい。」
「失礼します。今日、ご一緒させて頂く木下と…」
「菅です。よろしくお願いします。」
「あ、…藍川です。よろしくお願いします。」
「藍川先生の作品を演じさせて頂き、本当に光栄です。原作も読ませてもらいました、すごく素敵で…!」
「嬉しいなぁ…ありがとう。あ、ごめんなさい。…カメラ回ってないとこだとタメ口になる癖があって。」
「へ、ぁ…っ全然、大丈夫です…!」
「私も…!」
誰だろうこの人。
なんて思いながら話していたけど、2人とも優しい人みたい。
演じた、ってことは今回の映画の俳優さん達なのかな?
「本当?ありがとう。それじゃこのまま…なにか迷惑かけちゃうかもしれないけど今日はよろしくね。」
「こちらこそよろしくお願いします!」
そう言うと2人は深々と頭を下げて部屋を出ていった。
女優さんと俳優さんはこのままでいいんだ。
後は…視界さんがいるんだっけ?
その人にだけ敬語でいればいいのかな。
改めて手を伸ばして何か高そうなお弁当を手に取る。
「牛…お肉だ。」
金の文字で"牛"とだけ書かれてるけどイマイチ何かわからない。
そのまま蓋を開けると中身は1面お肉で、よく見ると隙間から下にお米が敷き詰められてるのがわかった。
…ただの舞台挨拶にこんなに豪華なお弁当用意してくれなくたっていいのにな。
しかも4つ。
「俺、…一人しかいないのに。」
無駄にだだっ広い部屋で一人そう呟いた。
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