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吉田さんが見たことないような顔をすると低い声で小さく唸る。
…何かそんなにおかしなことでもあったか?
「お前、人の名前覚えられたのか?」
「…馬鹿じゃないので。」
「いやいやいや、待て。お前俺と付き合い何年目だ?顔合わす度に誰だお前みたいな顔してきただろ?…まさか嘘だったんじゃ、…」
「なんで、…ですかね。」
藍川さんがマグカップを両手で持っては首を傾げる。
確かにどこか抜けている気がしていたけれど、まさか人の名前をそこまで覚えていないとは思ってなかった。
…吉田さんと付き合い長いはずなのに。
「おい小波、お前何した…!?」
「えっと…名刺、渡したくらいしか…」
「名刺…?コイツに俺の名刺2桁は渡したぞ。」
「俺も2枚渡しましたけど…」
「…あ"ーもういい。なんか気に食わねぇな。茶、早くしろ。」
「すみません、お茶の入れ方わからないんで水でもいいですか?」
「おい、飼い主…!」
「あああ…っ藍川さん、やっぱり俺が…っ」
「大丈夫だよ。その人、すごい水道水好きだから。」
そう言って藍川さんはマグカップへ並々と水道水を入れながら笑顔を俺へ向けてくる。
…なんというか、扱いが雑だな。
気を許しているってことかもしれない。
「小波、いいか?コイツが如何にダメ人間かってことを頭に叩き込んでおけ。」
「え、…あ……はい。」
「酷いですよ。ほら、お腹いっぱい飲んで早く帰ってください。」
「酷いのはどっちだ。」
文句を言いながら顔を顰めては水道水を飲む吉田さん。
この二人の馴れ初めだとか、どれ位の付き合いなのかだとかはなんとなくしか知らない。
…が、きっと俺よりもお互いのことを知ってるのは確かなんだろうな。
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