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(藍)
僕が小学校に入ってからはお兄ちゃんが学校まで送り迎えくれるようになった。
学校の先生に
「お兄ちゃん何歳?学校は?」
と聞かれると、お兄ちゃんはいつも
「フリースクールに行ってます。俺、頭が悪いから。藍のことお願いします。」
とだけ言った。
僕はフリースクールが何かわからなくてお兄ちゃんにその事を聞いたけど、お兄ちゃんもわからないって言ってた。
一つわかるのは前と同じでお兄ちゃんはどこにも行ってないこと。
でも、初めて送ってもらった時に
『6年振りに家から出た。』ってすごく喜んでたのを覚えてる。
空は広いね、これがたんぽぽ?、すごいこんなに大きな建物があるんだって。
僕はわからないよ。
お兄ちゃんは馬鹿なんかじゃないのに。
見たことないものも聞いたことないものも知らなくて普通なのに。
「…お兄ちゃん、今日は教室まで送ってほしいなぁ。」
「え?」
「学校の中一緒に見に行こ!大丈夫、友達が怪我した時にお母さんと一緒に来てたから。」
「そうなんだ。…それじゃ、行こっか。」
初めてお兄ちゃんと学校に入っていく。
廊下を歩いていくと、女の子が皆
「格好いい!」とか「芸能人みたい!」とかそんな風に言うの。
ちょっと嬉しい気分。
「お兄ちゃん、格好いいって。」
「かっこいい?」
「うん。綺麗ーってこと!」
「…そっか。」
お兄ちゃんはちっとも嬉しくなさそうにそう言った。
普通は褒められたら嬉しいのに。
しばらくして僕の教室まできたらさよならする。
またね、またねって。
また学校が終わったら迎えに来てくれるんだ。
「ねぇねぇ、藍くんのお兄ちゃんすっごく格好いいね!」
「うん!それに優しくてね、なんでも出来るんだよ。」
僕の自慢のお兄ちゃん。
優しくて大好きなお兄ちゃん。
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