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項垂れたように、もう何も言わずに先生を見あげていた。
何をしたっていい方へは行かないし今の一番の喜びは死ぬ事だけど俺はそんなに立派な人間じゃない。
年を重ねただけで俺はちっとも人間らしくもなれなかったんだから。
「動かないでね。」
「…はい。」
両手がガムテープでグルグルと巻かれていくのを目の端で見ていた。
昔、1度縄が解けてからこの人はガムテープで巻くようになった。
これはどうしても取れないのを俺は知っている。
もう23にもなる可愛くもない俺へどうしてこの人が執着するのか俺にはわからない。
きっと、俺はそれだけ駄目な人間でこの人は俺をどうにか更生しようとしてくれているっていうのが正しいんだと思う。
「憂くん、口を開けて。」
「…ん、…」
「飲み込んで。」
「ぅ、…っん…、…」
「いい子だね。」
言われるままに口に入れられた小さな何かを飲み込む。
飴とラムネの中間みたいなそれは飲み込んでいる途中にだんだんと溶けていった。
ボーッと天井を見上げているとふわりと体が浮く。
すぐに抱き上がられたんだって気付いたけれどもう恐怖はなかった。
何もかも 諦めれば怖くない。
「何か変わったら教えてね。」
「…はい。」
俺はいつの間にか大人になっていると錯覚していた。
それでも俺はこの人の中では子供のままで支配される側の人間で。
逆らえば痛い目に遭うって事だけは知っていた。
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