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「――ブランカぁああああ!」
指定された居酒屋に行くと、あいつの泣き声がさっそく聞こえた。
よほどショックなのだろう。カウンターに一人で座っていた新木は、嘆き悲しんでは飲み、吠えては飲みを繰り返している。
飲んだそばからダバダバと大量の涙が出ている。酒が涙なのではないかというほどに。
あきれ顔の店員や見るに見兼ねた客たちに「人生そんなときもあるさ」となぐさめられている。
俺はそんな人生の先輩らに深々と頭をさげ、すでにへべれけの新木をカウンターから奥の座敷席に連行した。
「大丈夫か?」
俺も良き人生の先輩を演じる。
「雄太さん……お、れ……は、もーダメっす!」
新木は俺を目の前にすると、もじゃもじゃ髪を振り乱して泣いた。
テーブルに額をこすりつけるその姿は、まるでお掃除をしているかのよう。
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