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新木の話を熱心に聞くふりをしつつ、手元のメニューを凝視する。
とりあえず、腹になにか入れたい。
焼き鳥よりも魚が食べたい。
カズマは魚嫌いだ。生魚はもっと苦手。
だからもう刺身なんて半年以上は口にしていない。
せっかくの自由の身だ。
好きなものをおもいっきり食べてやる。
選んだのは、刺身の盛り合わせ、イカの一夜干し、焼きシシャモ、ほっけ、あと枝豆。
注文し、料理が運ばれてくる間にも新木は怒涛のごとくしゃべり続けていた。
「言われたんっす。あんたはなんにもしないのに私の料理に文句ばっかりって」
よくあることだろ、と思った。だが胸がちくりと痛む。
「だから言い返してやったんっす。うどんに七味ばっかいれるなって。せっかくのダシの足が七味一色になっちゃうだろって」
じくじくと痛む。
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