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「カズマ。いい加減にしろ」
「とにかく! ゆーさんがコイツをうちに入れるっていうなら出ていきます」
「なんでそこまで嫌がるんだよ。コイツと色々あったの高校のときだろ? 過ぎたこといつまでズルズル引きずってんだ」
言い切ってからハッとした。自分のあまりにも軽はずみな言動を後悔した。
カズマがこんなにも嫌がっているのだ。当然、話したくないことがたくさんあったに決まっている。俺からしたら“過ぎたこと”でも、カズマのなかではまだその傷が治りきっていないかもしれない――。
「──ゆーさんの耳でかゴマ豆腐ッ!!」
その予感は的中したらしかった。俺の頬に渾身のビンタをくらわせ、地鳴りのような大声をあげ、カズマはわんわん泣きながら部屋を飛び出した。
「ゴマ豆腐ってなんだよ!」
もちろん回答はなかった。それどころか、靴もはかずに裸足のまま駆けていくのが見えた。
とりあえず起きる気配のまったくない新木を玄関に寝かせ、スニーカーを片手に追いかける。
生まれて初めて叩かれた頬はじんじんと痛む。
だが、アスファルトの上を裸足で疾走するカズマのほうがもっと痛いはずだ。割れたガラスでも刺さったらどうするんだと舌を打つ。
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