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ユキくんの保護者(1)
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「人間は死んだらどこへ行くの?」
この問いに対し、俺は明確な答えを持っている。
人間は死んだら天国か地獄へ行く。
良い行いをした人は天国へ。
悪い行いをした人は地獄へ。
そこでさらに良いことをすれば、新たに生まれ変わることができる。
「なるほどー!じゃあ僕のお父さんとお母さんは、今天国か地獄にいるんだね!」
死後の世界について少年に聞かれたので、説明した。すると少年は、嬉しそうにそう言った。
「僕ね、人間は死んだら消えちゃうのかと思ってたの。でも、お父さんとお母さんはまだ存在しているんだね。どうしてるのかなあ…」
「ふぐうっ…」
「あれっあくまさん泣いてるの?」
なんて健気なんだ。
この子のために、何かしてあげたい…!
「…見てきましょうか?」
「えー?何を?」
「あなたのお父さんとお母さんの様子」
「え!…でも、もうお願い100個言っちゃったしなぁ」
「大丈夫です!これは契約とは関係ありません。俺はあなたに無償で奉仕します!」
「えへへ。そうなの?うれしいな」
「えへへへ」
「ねーじゃあ僕の宿題やってよ。ほらこれ」
「や…でも、宿題をちゃんとやらないと、あなたの学力が落ちてしまいますし…」
「大丈夫。僕頭いいもん。やる価値のある宿題かどうかくらい判断できるもん」
「おおう…」
少年に問題集をどっさり渡されてしまった。
「あくまさん、今日のご飯は?」
「たけのこご飯と鯛の塩焼きです」
「わーい、おいしそう!じゃあご飯までに宿題やっといてね!」
「ご飯作るの俺なんですけど…さすがに同時にやるのは…」
「がーんばれっ!」
「かっ、かわいいぃがんばるぅ」
少年の笑顔のためなら、俺はどんな苦難も乗り越えられる…!
「ということで、宿題やっといてくれませんか?」
「はっ?!わしが?」
少年から宿題を受け取ってすぐ、俺は悪魔の世界にいる上司のもとへ向かった。
上司は最近まで男子高校生のストーカーにいそしんでいたが、それが原因でトラブルに巻き込まれ、結果的に淫魔先輩の精液を毎日飲むはめになっている。
「なぜわしが宿題などしなきゃならんのじゃ。わしは上司じゃ!偉いんじゃあ!」
「やらないなら淫魔先輩の精液の供給をストップしますよ」
「な、なんと…卑怯なやつ…」
上司は悔しそうに宿題を受け取った。
「あ、そういえば、上司さんに聞きたいことがあるんですけど」
「なんじゃ?」
「天国と地獄へ行きたいんですけど、行き方知ってますか?」
「どうして行きたいんじゃ、そんなとこ」
「少年の両親にご挨拶したいんですよ。一生を添い遂げる者として」
「お前…だいぶ気持ち悪いの…」
上司がドン引きしているが、構わない。「少年が様子を知りたがってるから」と正直に話したほうがなんか叱られそうだし。
「まあ…よいぞ。わしが話を通しておくから、人間時間で明日の17時、閻魔のところへ行け」
「えっ!ずいぶん協力してくれるんですね。でも17時かぁ。少年が家に帰ってくる時間ですよ。もうちょっと早くならないですか?」
「ぜいたく言うな!こっちは人間の世界より時間の流れが速いから、すぐ戻れるじゃろ」
「はーいはい」
「なんじゃあその返事は!上司であるわしに!もっと敬意を!払わんか!」
めんどくさいことを叫んでいる上司は無視して人間の世界に戻り、俺は夕飯の支度を始めた。
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