アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
彼氏
-
今まで誰にも素顔を見せたことがなかった。
こいつに会うまでは……。
「俺ら、付き合おっか」
「は?! いきなりなんだよ!」
言うが早いか、桜井は実力行使に出た。
僕の唇を無理矢理奪う。
抵抗しようと思えば出来たが、身体が動かなかった。
少しだけ、心臓が跳ねたのだ。
調子が狂う。
その光景を、一瞬にして写メる桜井。
「んんっ…っ」
「これ証拠ね」
その写真をこちらにチラつかせてくる桜井。
「ちょ…」
拒否権なしかよ。
「結構可愛い顔してるよね」
僕の反応を楽しんでいるようにも見える。
こいつの中身が読めない。
一体何を考えているのか。
「付き合う」っていうのも、僕に好意を寄せている素ぶりが無い辺り、冗談半分なのかもしれないが。
「取り敢えずさ。仕返ししようよ」
「仕返し?」
桜井から出た思わぬ言葉に、僕は一瞬頭が追いつかなかった。
「そ。脅してくる奴らの弱みを握り返すの」
はあ。
自分から首突っ込んでくるなんて、バカかこいつは。
僕なら絶対、見て見ぬ振りをするだろう。
時間が勿体無いから…と。
「お前な。お節介も大概に…」
が、その言葉を遮られた。
「ミナト。彼氏なんだから下の名前で呼んで」
そう、彼は僕の唇に指を当てて忠告した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 28