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邪な年頃2
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10月31日の夜。ハロウィンパーティー終了後。
旭は寝室に向かうと、ベッドの淵にへなへなと腰掛ける。…仮装は、小牧提案のミイラ男だ。
すると、彼を追いかけるようにして小牧が入ってくる。
「いやぁ~、疲れたね。」
宣言通り魔女衣装の黒いマントを脱いで、小牧は額の汗を拭う。同居人に対し、旭は唇を尖らせる。
「…お前ンとこのパーティー、なんか凄いな。食事はビッフェ形式、ゲーム有り、ダンスタイム有りの…。できれば次は前もって言ってくれ…。」
「旭、けっこう踊るの得意だったな。授業でやった??何とかミキサー。」
「あっ、あとしれっとお前俺を誘いやがって!!変な目で見られたらどうすんだ!?」
全身包帯塗れなので表情はよくわからないが、旭は少々ご機嫌斜めらしい。
「ヘーキ、ヘーキ!!むしろ、みんなの興味引いてたじゃん。魔女とミイラが性別逆転で踊っているって。」
ここで旭がガバッと顔を上げる。
「ああッ!!…なんかおかしいと思ったら俺、女性パートで踊っていたのか!!」
「普通に上手かったよ??」
「いや、上手い下手の問題じゃなくって!!」
声を荒げる旭に、相手は近寄り正面に立ったまま、彼の頭を撫でる。
「…別に誰も気にしてないって。お前、今だって全身包帯の正体不明なんだし。」
「だけど、やっぱり…ううん。」
煮え切らない旭に、相手は彼の包帯を頭の部分だけ取り除き、わしわしと髪を撫でる。
「あ~さひ。」
髪をかき回していた指先は、やがて両側の耳たぶに行き着く。
「…っ」
少し身じろぐ旭に、相手はゆっくりと瞳を狭め、手は首筋へと落ちていく。
「…こま、き。くすぐったいって…!!」
「旭。」
小牧は少し屈んで、座っている恋人と視線を合わせる。
「…トリック オア トリート。」
「…。」
旭は口を噤んだかと思いきや、勢いよく相手の後頭部を鷲掴みにして近寄せる。噛み付くようなキスをされ、小牧は口腔が荒らされたかと思うと相手の唇が離れていく。
「あしゃ…っん゛!?」
喋ろうとすると、口に違和感がある。舌で恐る恐る確認すると、よく知っている味だった。
「…こりぇ、チョコレート??」
首を捻る小牧に、目前の恋人はニヤニヤしながら答える。
「せぇ~かい!!…スケベ小牧のことだから、そろそろ言い出すんじゃないかと思って、キッチンで摘んできた大きめのウィスキーボンボンを口に入れていたんだよ。」
引っかかってやんの、と舌をべーと突き出す相手に、小牧は無言で…口の中のチョコを噛み出す。
ボリ…ボリボリボリボリ。
「はははっ!!や~い、単純小牧…。って、何で無言なの!?」
ボリッ、ボリボリ…。
「えっ??いや、だから、急に黙るのやめろ。あと、チョコを噛み砕きながら、くっらい目で俺を見るな。」
ごくっ、と小牧の喉仏が生々しく上下を繰り返す。
「うるさい。」
片頬に手を添えられて、相手は旭の唇を奪う。あっけにとられている旭の背に腕を回し、衝撃を和らげながらベッドに押し倒す。
「お前が、誘ってきたんだからな。」
お仕置き、と呟いて小牧が相手の口腔を貪る。衣擦れの音しかしていなかった部屋に、旭の荒い息がこだまするのは時間の問題だった。
「も…っ、くるし…っ!!これ、取って!!」
いつもと違う包帯が邪魔なのだろう。頬の包帯を引っ張る旭に、馬乗りになった恋人は小さく頷きを繰り返す。
「はいはい。…今、とってやるから。」
一回り、また一回り…。包帯がとれて、旭の素顔が照明の下、暴かれていく。
頬は紅潮し、双眸はしっとりと潤みきっている。薄く開かれた唇から、白い歯が本のちょっぴり覗いている。縋るような上目遣いに、小牧は背がぞくぞくした。包帯で覆われていてもわかるほど、薄い胸が短い間隔で上下している。
「小牧…の、イジワル…ッ!!」
「…うん。ごめんな…??」
言いながら、小牧は恋人の包帯を続行でしゅるしゅると解いていく。包帯が擦れ合う音が酷く艶かしい。クラクラしてきそうだった。
「こま、き…??えっ、もう顔のところは取れたから剥かなくていいって…!!」
「いや、これは間違いなく男のロマンだから。」
「意味わかんねぇ~よッ!!」
しゅるしゅるしゅる…。
夢中で首筋から胸の前まで解いて…小牧は硬直した。
そこにあったのは、裸の胸…ではなく白いTシャツ。
「ありゃ…??」
目を点にしている相手の後頭部を平手で軽く叩き、旭は男の下から這い出てくる。
「阿呆。…誰が裸に包帯巻きつけてパーティー参加するかっつの。ちゃんと着ています!!」
「おパンツも!?」
落胆のあまりか。変なところに『お』をつけてしまう小牧だった。
「おパンツも!!」
旭は律儀に返しながら、寝室を後にしようと扉に手をかける。
「あの、もっとイタズラしたかったんですけど…。」
小牧は、相手の背中に小声の情けない声をかける。すると、俯いた旭はぶっきらぼうに一言。
「…悪いけど、一端仮装脱いで、シャワーを浴びてから戻らせて。」
小牧は待てを解除された犬の如く、パッと顔を輝かせる。
「あ~さひィィィ~…っ!!」
「…ッるせぇ!!」
叫ぶ旭だったが、同居人はしっかりと目撃した。扉を開けて去っていく旭の耳は、真っ赤に染まっていたのである…。
邪な年頃 END
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