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その7
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───ガチャン!!
ハァ、ハァ、ハァ、ハァ──
あ、つい。
武道場から自転車を休まずに漕いだから
疲れたしめっちゃ身体が暑くなった。
暑くて滴る汗が気持ち悪くて、ブレザーと
カッターシャツを脱いだ。
(お前が憎い)
(お前が悪いんだ)
(早く辞めろよ)
(俺達は皆、お前なんか要らない!)
(お前の足をダメにすれば─)
ッ!
あぁもうなんで、なんで今こんな時に、あの時の事を
思い出すん、だよ…!
なんで!
陸上は嫌い、大嫌いなんだ。
この走るのが速い足も、嫌いだ。
なんで、俺は、足が周りより速くなっちゃったんだよ。
ただ、走ることが大好きなだけだったのに、
それが、どうして!
あんなことになるんだったら、走ること、
好きになるんじゃなかった。
そんな才能なんて、いらなかった!!
だから、もう、思い、出させない、でよ…っ
(六弥!!お前はなんにも悪くない!!
ただ六弥は走ることが、陸上が大好きだ
という純粋な気持ちでやっていただけなのに、
才能に嫉妬して、それが捻じ曲って憎悪に
変えて、お前を陥れようと酷いことをした、
ゴミ屑以下当然のアイツらが悪いんだ!!
お前は決して…っ!悪くないんだよ!!)
(すぐ気づけれなくて、助けれなくて、ごめん、なぁ。
なぁ六弥、六弥は何も悪かっところなんてなかったんだ。
いつも周りのことを気にかけて、励まして、
誰かの悪口を言うことなんて一度もなくて、
いつも誰よりも熱心に取り組んでたお前は、
決して悪い奴じゃないんだ。
悪いのは、優しくて、真面目で純粋な
六弥をこんなにした、アイツらが悪いんだよ。
だから、そんなに自分を
追い詰めないでくれ…っ、六弥…!)
……勇晋、総…っ。
あの時2人はああ言ってくれたけど、
俺、やっぱ分かん、ないよっ。
そうだとしても、あんな事が起きちゃった以上
俺は、もう、
ダメ、なんだっ…!
陸上が、走ることが、怖い……!!
で、も、俺、総と勇晋みたいに、
昔の時みたいに陸上をやりたい自分が…いるん、だ…っ。
もう、分かんない…!!。
澤木さんことも、総と勇晋のことも、
陸上のことも全部、分からないことだらけ、だ…。
今日はもう、夕食さえ喉が通らなかった。
親には、本格的に心配されはじめ、ちゃった………っ。
Act.7 : 入り乱れて弱る心 終
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