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その3
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「……ここ、は…どこ?」
ふと意識が覚醒して周りを見渡してみたら、
辺りは真っ暗で何も無い空間が広がってた。
本当に、どこ、なんだ?
此処。
「ねぇ、苦しい?」
「!だ、誰!?」
突然誰かの、幼い声が聞こえた。
でも、その声は聞いたことのある声だった。
どこで聞いた声、だった、かな。
……あれ?
「次から次へと沢山の悩みが生まれて、それがどれも
苦しくて辛くて、胸が張り裂けそうになってさ。」
「ッ!?」
「澤木さんに対する恋心
勇晋と総に対する罪悪感
家族への罪悪感
過去に起きた陸上のトラウマ
"俺らしく"という名のしがらみ」
「ヒュッ…」
思わず変な息の仕方になった。
なんで知ってるの
なんで言うの
「それが今、自分の身に降り掛かって、心が掻き乱され、
訳わかんなくなるばかりで、辛くなるばかりで。
嘘をついて隠し事をし続けてること、自心配して
くれてるのに冷たく当たってしまうことに、
ひたすら罪悪感が募るばかりで。
自分という存在が分からなくなるばかりで。」
「やめろ、やめろやめろやめろ!
これ以上言うな!!」
聞きたくない。
全部全部、まさに自分が思ってたことことだった。
なんでそれを謎の声の奴が知ってるのかが怖くて、
それと同時に、これ以上、俺の気持ちを読まないで欲しかった。
なのに、
「なんで、自分はこんなにダメな子なの?
なんで、自分はこんなにも馬鹿なの?
自分に、勇晋と総の幼馴染で親友でいる資格なんてない。
"俺らしく"いないと、自分が分からなくなりそうで、
見失いそうで…何より嫌われたらと思うと、怖かった。
ほんとうのおれって、だれ、なの?」
「〜!!お願いだからもうやめろ!!
もう言うな!!もう聞きたくない!!
俺を、苦しめないでくれよ!!!
……もう、いや、なんだ。
苦しくて辛くて、訳わかんなくなってきて、
怖くて……だから、もう…っ」
苦しむのはもう、たくさんなんだ。
もう、嫌なんだ。
何でこんなに、苦しまなきゃいけないの?
何で、こんなに辛いことばかり、なの?
も、やだ…
「だったら、もうこのまま逃げ続けるの?」
「ッ!?」
「辛いことから全部逃げた結果、
勇晋と総とは関係が壊れた。
自分を、見失うことになった。
それに、このままだと親とも先生ともクラスメイト、
皆との関係は壊れる。
自分自身、も。
………ねぇ、本当にそれでいいの?」
「…ぁ……あ…」
「……良く、考えてみなよ…俺。」
「!?え…お、れ?」
声の正体は、幼い頃の、俺、だった。
……う
突然また、意識が遠のいていった。
「───…。」
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