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そう上手くはいかない。
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事務所での仕事を終え、前野にいつも通り車で家まで送ってもらう。
「いつも悪いね前野。お前も仕事があるだろうに。」
そう言うと前野は今までの硬い表情から、昔から知る幼なじみの顔になった。
「何を今更。これまでもずっとそうだったでしょう。」
俺と前野は昔からずっと一緒に居た、いわば幼なじみだ。
物心ついた時から隣に居て、いつも俺に対して敬語で接していた。それが前野の癖なのだと気付いたのは、だいぶ成長した後だった。
「そう言えば圭吾さん。朝の男子高校生は誰ですか?あのやけに童顔な。」
「ああ輝のことか。拾った。」
「…………は?」
「雪降った日あっただろ?あの日に倒れてたんだよ。それで助けてあげたんだ。」
「そ、そうなんですか……。いや、それはわかるのですが、それならなんで何日も家に置いているんですか?」
「なんでって、そりゃ……」
あれ…なんでだろう。
1日泊めるだけで十分だったのに。
「圭吾さん?」
いや、あの雪の日に
あの目を見た時に
俺はあの人のことを思い出していたのかも……
「……お前は、なんでだと思う…?」
全く違うことを言って欲しかった。
今俺が思ったことを否定してくれる一言を。
「……私に貴方の心の内がわかるはずありません。ほら、着きましたよ。」
「んあ?あぁ、ありがとな。」
車から降り、バタンとドアを閉める。
俺は何を下らないことを考えているんだ。もうあの人は関係ない。
「それではまた明日。お疲れ様でした。」
「お前もおつかれ、明日も頼む。」
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