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雪に溶けた花[第一章]
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カラフルなイルミネーションに包まれた遊園地に幸せな家族や恋人たちがにぎわっている。
「僕、あれ乗りたい」
キラキラと光輝く観覧車を指差して幼い少年がねだっていた。
「だめよ。あれに乗るまで30分も待つんだから風邪ひいちゃうわよ」
少年の母が首を振る。
「大丈夫だもん。お兄ちゃんもお姉ちゃんもいっぱい乗ってずるいよ。僕、いっぱい待っても絶対乗るからね」
駄々をこねる少年に上の兄姉は申し訳なさそうな顔をする。
絶叫系の乗り物などはまだ6歳である少年には制限があり乗るものが限られてしまうのだ。
「いいじゃない。きょうは雪斗の誕生日だし乗ろうよ。わたしだって乗りたいもん」
下の姉が助け舟をだした。
「そうだな。せっかくだからみんなで乗ろう。こんな景色滅多に見れるもんじゃないしな」
父親もいうと母はため息をつく。
「しょうがないわね。待ちくたびれて駄々をこねたりしたらもう乗らないわよ」
「やったー!」
雪斗とよばれた少年は両手を上にあげて喜んだ。
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