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「ありがとうございました。」
にっこり笑えば、歓声と拍手が舞い込んでくる。
ここはBAR TRICK。
音楽が好きな人が集まる、いわゆる音楽BARで
音楽を聴きながら、
日頃の疲れを癒したり、大切な人との別れを慰めてもらったり、はたまた女性を口説くためにここを使ったりと
色々な人達のおかげで繁盛している。
ある日はピアノ演奏だったり
ある日はジャズバンドだったり
ある日は今日のように僕が、ピアノを演奏しながら歌を歌ったりする。
「今日も良かったよ。いやぁ、いつも思うが、綺麗な声をしてるね。女性的な、でもハスキーでもある。」
そう声を掛けてくれたのは、
不動産業を営んでいる黒川さん。
このBARの常連さんの1人だ。
「ありがとうございます。嬉しいです。」
にっこりと笑って返すと
「嬉しい、、か。綺麗な顔立ちに綺麗な笑顔。こりゃあ男が黙ってないな。モテるでしょ?」
「何言ってるんですか。僕男ですよ?」
ニヤリと笑いながら聞いてくる黒川さんに
くすくすと笑いながら言うと
「分かってる、分かってる。俺も老けたな〜。
男の子にセクハラ発言するなんて。ね、マスター」
「私に話をふらないで下さいよ。確かに綺麗ですが、うちの看板娘なんですから、手は出さないようにお願いしたいです。」
そう答えたのはマスターこと、藤本 優さん。
BAR営業の他にも、投資やアジア圏内各地に日本料理店をオープンするなど、何かとお忙しい人。
濡烏色(ぬれがらすいろ)の少し長めの髪の毛を中わけにした髪型に、黒縁のメガネとベスト姿が
知的かつ色気を醸し出している。
先ほど、音楽を好む人達が集まると言っていたが、
マスター目当てで訪れる人も少なくない。
最近よく来る若い女の子達は、ほぼマスター目当てだ。
と言うか、看板''娘”って、、、
「だから、僕男ですって、、」
「ま、実際。梓くんの容姿は映えるから。それに加え歌もうまいときたら、看板娘になるしかないよね。ね、マスター。」
「確かにそうですね。頑張って頂きたい。」
「マスターまで、、、」
マスターはよく掴めないミステリアスな雰囲気があり、
いつもは冷たそうにしている。
だけど、たまに微笑んだり、お疲れ様とケーキを出してくれたりする、優しい人だ。
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