アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
留守中に…
-
目がさめると外は暗くなっていた。
どこからともなく人の笑い声や歌声が聞こえてきて、静かに耳を傾ける。
「……うわぁ」
ベッドから降りて窓に額をくっつける。ここの街は夜の方が賑やかみたい。明かりがいっぱい灯っていてキラキラしていた。
しばらく外を眺めてると、ふと誰かと目が合った気がした。遠目だから確かじゃないけど、どこか見覚えがある……ような。
一階に降りるがAの姿はなかった。テーブルの上に置き手紙があり、夕食が置いてあった。
その小さな手紙に手を伸ばす。すると突然ドアを強く叩かれ、僕は驚きすぎて飛び跳ねた。
「えっ!?え、ええ……だ、だれ?」
どうしていいか分からない……
開けていいのか?Aのお客さんだよね……
今は居ないし……スルーしようかな
ソロソロと忍び足でキッチンに隠れる。けれど戸を叩く音はなかなか止まず、怒鳴り声などが聞こえ始めた。
「……A、A…どこ行ったんだよぉ」
ぎゅっと置き手紙を握りしめる。
ついにドアは蹴り破られ、外からスキンヘッドにペイントを入れた厳つい男が入ってきた。絶対捕まったらヤバイ。
「ど、どどうしよ…っ」
男は辺りを見渡すと、奥の部屋へと消えた。今のうちに外へ出ようと立ち上がると、また1人別の男が入ってきた。今度もスキンヘッドにおかしなペイントを入れていた。
僕は思わず二階へあがってしまった。多分気づかれてないと信じたい。
出来る限りの忍び足で寝室へ逃げ込む。窓の方へと駆け寄るが、ここから出るにはかなりの度胸がいりそうだ。
……骨折だけで済むといいけど
そういえば、Aからの手紙を読んでなかった。
”少し出掛ける。何かあったら例の酒屋へ行け”
「……さかやぁ?なんであそこ?」
意味は分からなかったが行くしかない。ここを頼るしか僕には選択肢が無いのだから。
そうこうしてると、スキンヘッド2人が寝室へと入ってきた。僕を見つけると、いきなり銃口を向けられ動けなくなった。
落ち着け……パニックになるな
「あ、の……あなた達、誰ですか」
なんとか絞り出すが、口が震えてしまう。スキンヘッドの1人は警戒を解かず口を開いた。
「お前の名は?」
僕の名…?
「…B、ですけど」
男は名を聞くと目を見張り、グッと眉間にしわを寄せた。
その瞬間、僕は撃たれるんだと察してしまった。
銃声が鳴り響き、僕の目にスローモーションで球が飛んできた。
その球は僕の左肩を貫通し、そのまま窓の外へと引っ張っていった。
ああ、僕は死ぬのか
なんの目的で撃たれたかも分からずに、死ぬのか
そんなの……悔しいなぁ
目を閉じて息を止める。覚悟は出来ていないけど、もう今さら……どうにもならない
最後に、会いたい人も、浮かばないや…
次の瞬間、来るであろう激痛を待つが来なかった。どうやら運が良かったみたいだ。小麦粉が沢山入った袋が下敷きになってる。
それでも打ち所が悪かったみたいで、右足が強く痛んだ。
左肩も血が滲んできて意識が朦朧としてくる。嫌な汗が湧き出て血の気が引いていく。
ハァハァと苦しく息をし、霞む意識のなか目の前に見慣れたシルエットが見えた。
『お前はいつ見てもボロボロだな』
相変わらずの目全体を隠すサングラスに、黒のロングコート。少し長い黒髪は後ろでまとめていた。
その不敵な笑みを見てたら、なぜか涙が溢れでて止まらなくなった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 7