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夢の中で
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あれ、これってお葬式
あっ、夢見てるんだ
祐兄がお父さんの同僚や上司に挨拶をしている
俊兄は近所のおばさま方と話をしている
僕は圭兄と手を繋いで座っている
「咲、大丈夫?」
圭兄は自分も哀しいはずなのに僕の心配をしてくれる
「…」
僕は声を出すのが難しくなった
でも、涙は出なくて自分がひどい人間だと思う
「圭、咲二人は家に帰ってて」
「わかった。祐兄」
「…」
頷いて返事をする
圭兄と僕は先に家に帰って来た
祐兄と俊兄は片付けが終わってから帰ってくるみたいだ
「咲、俺シャワー浴びてくるから」
「…」
圭兄はリビングを出て行く
一人になった途端葬式では出なかった涙が止まらなかった
「…うっ」
「…おと…さん」
「グズっ」
(お父さん、ごめんなさい。僕もそっちに行けば許してくれる?お母さんにも会える?)
「待ってて、すぐ行く」
カッターを取って来て自分を傷つけていく
「ただいま」
祐兄と俊兄が帰って来たみたいだ
「おかえり、今シャワー浴びてたところ」
三人の話し声が近づいてくる
「咲、ただいま。咲‼︎」
「おい‼︎何してるんだ」
「咲‼︎」
圭兄が止めようとして手を押さえるけどカッターを振り回す
「圭、のいて」
そう言って祐兄が近づいて僕を思いっきり殴った
その勢いでカッターから手を離してしまう
「いや!止めないで‼︎お父さんとお母さんに会いにいく!」
「咲!いい加減にしないと知らないよ」
祐兄の目は怖くて抵抗するのをやめた
この日からだ祐兄が怖いと思うようになったのも
医師志望の俊兄が大学を辞めてホストになったのも
圭兄が私立の受験をやめて公立に進路を変えたのも
そういえばみんな僕と過ごす時間がほしいって言ってなぁ
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