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02/END.
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「おかえりカラ松」
「あっカラ松兄さんおかえり!」
「おおっチョロ松にトド松! ただいま!」
「――クソ松」
「一松も居たのか! フッ……茜色に染まりつつある外界より無事帰還したぜぇ~!」
「死んでくれ。」
「えっ」
二人には分からないように僕に向けてぱちりとウインクを一つ、菩薩の微笑みから瞬く間にクソ顔を繕ったカラ松に胸が熱くなった。
無事で良かったよ。お得意のクソ顔には殺意が沸いたけどな。
安堵から舌打ちした僕をチョロ松兄さんが窘め、それにも舌を打って自分の殻に閉じ籠る。
友達を抱っこして膝を抱え構うなオーラを醸し出せば、チョロ松兄さんは呆れてそれ以上口出しして来なかった。こういう時は自分の卑屈な高二病設定が有り難くて助かる。
「おそ松と十四松はまだ帰って来てないのか」
「そろそろ母さんが帰って来て夕飯になるだろうし、あの二人なら呼ばれなくてもその内に腹空かせて帰って来るだろ」
「それもそうだな」
カラ松とチョロ松兄さんが交わしている他愛もない会話に、何となく意識を向ける。立ったままのカラ松はそれからチョロ松兄さんに何事かを耳打ちされ、困惑した様子で僕の方を見た。
誰のことについて言われたのかは想像するに容易い。十中八九、僕のことだろう。
「おい。何見てんだクソ松。見てんじゃねーぞ腐るだろが。」
「えっ、あっ、す……すまない一松……っ」
睨み付けた僕に狼狽えたカラ松は着替えて来ると一言告げて、そそくさと二階へ上がって行った。
カラ松が着替えに行ってまた気まずい空気に包まれた居間で、不意に僕の携帯端末がLINEの通知受信を知らせた。誰かは見なくても分かる。このタイミングからしてカラ松に違いない。
そっと確認すればやっぱりカラ松で、吹き出し内の文章を目で追って内容を理解した直後、僕は思いっきり噴き出してしまった。
「フゴッフゥッッッ!!!」
「うおっ!!? 何!? どうした!?」
「うわっびっくりした! い、いきなりどうしたのさ一松兄さん……」
「グフッ……な、何でもないから……っ」
「何でもないって感じじゃ全然ねーんだけど!?」
「フヒッ、ヒヒヒ……いや、ほんと、何でも……ヒヒッ――気にしないで。」
「無理だろ! 逆に気になるわっ!」
突然噴き出した僕に驚いたチョロ松兄さん達の反応も去ることながら、友達も驚いて、腕の中から飛び上がって窓から出て行ってしまった。けれど今はそれを気にしていられる余裕はなかった。
携帯端末のタッチスクリーンをスワイプさせて、今一度カラ松からのチャット内容に目を通す。
―――――――――――――――
迷える狩人:おい一松! 大変だぞ!
迷える狩人:お前、孤独感に堪り兼ねてデカパンを頼って作り出したドッペルゲンガーと仲良くデートを堪能するくらい病んでる松になってるぞ!!!
迷える狩人:大変だ一松!!
―――――――――――――――
また噴き出してしまいそうになるのを下唇を噛んで堪え、文面から伝わってくるカラ松の焦り具合から、冗談や嘘を言ってる訳ではないことが分かる。
――一体どういうことだってばよ!?
内心の動揺を押し隠して、震える指先で返答すべくタップする。
―――――――――――――――
迷える闇猫:はww何それww
迷える狩人:俺が聞きたい! こんなの想定してない!
迷える闇猫:何でそうなった
迷える狩人:チョロ松に、「お前ナルシスト入ってるだろ? だから今の一松の気持ちとか一番理解出来ると思うんだ。」って囁かれた俺はどうすればいいんだ……(ゲンドウポーズ)
迷える闇猫:ちょwww誰がナルシストだwwwふざけんなしwwwww
迷える闇猫:どうすんのこれ。どう始末つけりゃいいの。
迷える狩人:どうもこうも、まさかこんなことになるとはなwwドッペルゲンガーまでは想定内だったんだがwww
迷える狩人:やばい……俺の腹筋しにそう……っwwwwww
迷える闇猫:おい
迷える狩人:すまん……ちょっともうむり
―――――――――――――――
限界を知らせるカラ松の一文が画面に出たと同時に、二階から騒がしい物音と共に弾けんばかりの爆笑が聞こえてきた。
何事だと目を白黒させるチョロ松兄さんとトド松を余所に、僕は笑みの形に引き攣りそうになる表情筋を誤魔化すのに必死だった。マスクがなかったらヤバかったかもしれない。
あ゛~~~クッソ!!
僕の腹筋も死にそうだよバカラ松!!!
END.
無駄に長くなってしまいましたがおまけの小話です。
個人的に好きな要素を詰め込んだ結果、こうなりました。こういう実はめちゃんこ仲良しな色松や、実はチートな次男も好きなんです。
カラちゅんの歌って踊ってみた見たいんだぜ……。
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