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料理が苦手なパパが頑張って作ってくれたらしいお粥を食べる。熱々で中々食べづらいけれど、しっかり冷ましてゆっくりと食べていく。
しかし食欲があまりない今、普通のはずのこの量が多く感じる。
「紅葉、無理して食べなくていい。食べれる量だけ食べなさい」
「ん……ごめんなさい」
「仕方ないだろう。俺も配慮が足りなかったから気にしなくていい」
パパがポンポンと頭を撫でる。その優しさが今はすごく嬉しくて、熱で緩んでいる涙腺はすぐに崩れて涙が溢れてきた。パパは何も言わず私を抱きしめる形になって背中を撫でてくれる。私はそれにひたすら身を委ねた。
「──んん……ふわぁ……」
あの後私は寝てしまったらしい。気がつくと私はしっかりと布団に寝せられていた。
起きたし一応熱計っておきましょう。
温度計を脇に挟んで待つ。
ピピピピと音が鳴り見ると38.6℃。
「あ、少し下がったわね」
でもまだ高いかな。これは明日も学校は無理かもしれないわね。テストが返ってきているというのに。みんなの点数も気になるし私の点数も……。何せみーくんと勝負しているから。
コンコッココンコン
「雪だるまつく〜ろ〜ドアを開けて〜」
「今は春だから雪はないし、ドアは自分で開けてちょうだい。動くのだるくて開けれないわ」
やってきたのは拓麻だった。
「マスクしないと移るわよ」
「俺風邪ひかないから大丈夫でしょ」
「馬鹿だものね」
「ひっでぇー」
「森野、紅葉は病人なんだから大人しく喋りなさい」
開きっぱなしにされていたドアからみーくんが入ってきた。
「はい、マスク。さっきお父さんからもらってね。移ると困るからって」
「さんきゅ」
「み、みーくん……なんで来たの……?」
焦って言葉が酷くなってしまった。
それでもみーくんは笑って言った。
「恋人が風邪ひいたら御見舞いに来るのは当然でしょ?」
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