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第70場 blue moon
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【第70場 blue moon】
(10月締め日 エレアのラスト)
(開店前 店のエレベーターの前)
チーン
エレア:「おはよーごさいます。」
店員1:「おはようございま…す…。」
エレア:「おはようござ…ってなんで泣いてるんですか?!」
店員1:「だっで、ぎょう、エレアざんのラズドで…さびじぐで…」
エレア:「そんな!泣いてもらうほどのことじゃないですよ!」
店員1:「俺、エレアさんより先に入ったけど、エレアさんが入って来てからずっと尊敬してて…。」
エレア:「尊敬って。」
店員1:「だって、絶対掃除には一番に来て、ナンバーはいっても掃除続けてるし、痛客にも嫌な顔しないし、んで、先月なんてあの九十九さんに勝っちゃうし、カッコよすぎです!」
エレア:「新人は掃除するの当たり前ですから。たまたまお客さんが付いたからナンバーになれただけです。
痛客は、俺が単に図太いだけです。
それと、九十九には勝ったと思ってません。
ずっと不動のNo.1でバーイベ直後なんて、いくらラストでも不利過ぎますから。
勝ったって言うより、勝たせて貰っただけです。」
店員2:「はー!やっぱエレアさん違いますね!俺は九十九さん派だったんすけど、でも今月からは断然エレアさん派です!」
店員3:「なにお前調子いい事言ってんだよ!
俺はずっとエレアさん派ですからね!
でも、ほんとに辞めちゃうんすね。」
エレア:「はい、お世話になりました。」
店員1:「大学受験するんですよね?
受験終わっても戻って来ないんすか?」
エレア:「行きたいとこが医科歯科大なんで、たぶん実習とか忙しくて、両立は無理だと思います。」
店員2:「じゃ、じゃあ!もし医科歯科大じゃないとこ行ったら戻って来てくれますか?」
店員3:「お前、なに縁起悪いこと言ってんだよ!」
エレア:「ははっ。まぁ受かるかどうかはわかりませんが、今は受験のことより、今日のラストのことしか頭にありません。」
ガチャ
店長:「なんだ、お前ら。掃除道具取りに行ったまま戻って来ねーと思ったら、こんなとこにいたのか。」
エレア:「店長、おはようございます。」
店長:「お!主役来たか!早く中に入れ!」
(全員店内に入っていく)
エレア:「え?!
なんでタワー2基あるんですか?
一つはマリアのですよね。
もう一つは聞いてないんですけど…。」
店員:「それはサプライズだ!」
エレア:「サプライズ?まさかまたマリアが無理して…」
店長:「違う違う。もっとVIPなやつだ。」
エレア:「全然思い浮かばないんですけど…。」
店長:「だからサプライズだって言ってるだろ?」
店員1:「俺らは今回は知ってますよ!」
店員2:「まじVIPっす。」
エレア:「はぁ…。」
店長:「たぶんタワー1基やってる頃か、ラスト直前に来るはずだ。でもそのためにVIP席のA卓は空けとくからな。」
エレア:「なんか納得いかないですけど…。」
店員3:「それよりエレアさん今日もスーツなんですよね?ヘアメの時間大丈夫ですか?」
店長:「そうだぞ、今日は開店1時間早めてるの忘れるな。」
エレア:「あ、じゃあヘアメ行ってきます。」
店長:「おー!ビシッと男前にしてこい!」
(開店後)
エレア:「じゃあごちそうさまでした。」
客:「うっうっ。」
エレア:「泣かないで下さいよ。俺の門出なんで笑って送り出して下さい!」
客:「もー。ずびっ。そういうとこずるい!
エレアなんて、エレアなんて…。」
ボーイ:「エレアさんVIPのC卓お願いします。」
客:「行ってらっしゃい。」
エレア:「おー!送りにまた戻ってくるからな。」
(VIPのC卓 敦子の卓)
敦子:「ホントにあとはタワーで終わりね。」
エレア:「はい、敦子さんにはお世話になりました。」
敦子:「何言ってるのよ!本当はもっと育ててみたかったのよ?先月の売上が歌舞伎町No.1とは言え、もっとビックにしたかったわ。」
エレア:「もう十分です。
今日もリシャール3本って…なんてお礼言っていいか。」
敦子:「あらだって、他卓でもリシャとかルイとかプラチナがバンバン出てるから、そこは私のプライドとしてね。
でも、さすがにマリアちゃんには負けたわ。
タワーやるのに、ルイブラックも入れるなんて。」
エレア:「ホントにマリアには無理させて、正直ちょっと心苦しいです。」
敦子:「どこまでもホストになり切れない子ね。私もだけど、マリアちゃんも、エレアが辞めてから会えるって特権あるんだから、いいのよ。
それより、今月の売上は先月より上回ってるらしいじゃない??
エレア:「はい、今日の分入れるとかなり。」
敦子:「また伝説ねー。」
エレア:「それすごい恥ずかしいんでやめて下さい(笑)」
敦子:「まぁ、先月今月の売上でマンションくらい買える額にはなったでしょうけど、店辞めてお金に困ったら相談しなさいよ?
将来起業するなら、ビジネス関係でも力になるわよ。」
エレア:「起業なんて考えてないです。でも、お気持ちは嬉しいです。ありがとうございます。」
ボーイ:「エレアさんVIPのB卓お願いします。」
敦子:「マリアちゃんのとこでしょ?
そろそろタワーの時間だし、早く行ってらっしゃい。」
エレア:「はい、ごちそうさまでした。また後で。」
(VIP B卓 マリアの卓)
エレア:「お待たせ、ごめんな。」
マリア:「大丈夫だよ。今日は時間制なのに、オーラスで入れてくれただけで十分。」
エレア:「でもルイブラックまで入れてくれたのに。」
マリア:「それは、あの不気味なタワーのせい。誰がやるかわかんないって言うし、ピンドンのタワーにしちゃったから、売上負けたくないし。」
エレア:「なぁ、マリア。こんなこと俺が言えた義理じゃねーけど、辛い思いして稼いだ金なんだから、これからはもう少し大事に使えよ。」
マリア:「それは、大丈夫。私も今日でホスト卒業するから!」
エレア:「え?そうなのか?」
マリア:「エレア以上の担当なんていないし、エレアにはかおりくんと一緒に会えるし。
それに、もう高額な買い物したから、これ以上は使わない。」
エレア:「高額な買い物って?」
マリア:「マンション買ったの!」
エレア:「はっ?」
マリア:「だから、マンション買ったの、赤坂に。現金一括の前払いだったけど、念のため敦子さんが保証人になってくれたんだ。」
エレア:「赤坂って高級どころじゃないな。」
マリア:「あともう一つ報告。今すぐは店辞められないけど、来月から職業訓練校に通って、いつかは昼職目指すつもり。」
エレア:「そっか!よかったな!」
マリア:「まだ予定だよ?」
エレア:「でも俺はマリアが昼職頑張ってるのを応援したい。」
マリア:「はー。ほんとホスト向いてないよね。店辞めてから会うんだから、裏引きだってできるのに。」
エレア:「俺は一応常識人なんで(笑)」
マリア:「ぷっ(笑)なにそれ(笑)
………ねぇ、エレア。ありがとね。」
エレア:「なんだよお礼なんて。お礼言うのは俺だろ?」
マリア:「そうじゃなくて。
ずっと触れないでいてくれたでしょ、このリスカ跡。気づかなかったわけじゃないよね?」
エレア:「ああ、まぁマリアが過去を話してくれたから、聞かなくても、な。
それに店によく来るようになってからは、新しい傷増えてなかったから、安心してた。」
マリア:「やっぱりちゃんと見ててくれるんだね…。」
(店内に音楽が流れる)
♪さぁ~、本日生ける伝説エレア王子のラストイベント!
♪ここに光っておりますシャンパンタワー!
♪注ぐお酒は、なんと!なんと!
♪ドーンペリピーンク!
♪エレア王子とVIP、B卓の姫様こちらへお願いします~
(エレアとマリアがシャンパンを注ぎながら)
♪姫様最高!姫様最高!
マリア:「…ねぇ、エレア。
…好き…だったよ。」
エレア:「え?コールで聞こえねー!」
マリア:「ピンクタワー可愛いねって言ったの!!!」
エレア:「だな!」
(マリアのタワーが終わり、エレアは1度バックヤードに戻る)
キャー!
キャー!
ウソー!
エレア:「なんか騒がしいな。」
店長:「最高のVIP客の到着だ。VIPのA卓行ってこい。」
エレア:「あ、わかりました。すぐ行きます。」
(VIPのA卓)
エレア:「いらっしゃ……ってつくも!」
つくも:「来ちゃった♡」
エレア:「来ちゃった。はぁと。じゃねーよ。
なにしに来たんだ?」
つくも:「親友の雄姿を見に。」
エレア:「それでわざわざ客で入ってきたのか?」
つくも:「もーだってblue moonの九十九じゃねーし。」
エレア:「だからって…。」
つくも:「あとはケジメつけに。」
エレア:「ケジメってなんだ?」
つくも:「あー、それはこっちの話。
ほら、タワーやるぞ!」
エレア:「は?サプライズのタワーって、つくもがやんのか?!」
つくも:「せーかい!」
♪ここで、なんと、なんと~
♪ここにもう一つ残っているタワー
♪お客様からのサプライズ~
♪しかも~お客様自体もサプライズ!
♪先月電撃引退した、我らが九十九王子~!
♪注ぐお酒はなんと~
♪ドーンペリプラチナ15本!
♪ではでは、九十九王子とエレア王子お願いします!
エレア:「まじかよ…。」
つくも:「まじ!早く!場が冷めんだろ!」
(エレア戸惑いながら、つくもとシャンパンを注ぐ)
♪王子最高~王子最高~最高最高最高最高!
♪ではでは、そんなサプライズゲストであり、サプライズタワーを、やった九十九王子からエレア王子に一言まで、3.2.1
つくも:『ずっと好きでした!付き合って下さい!』
キャー
キャー
♪まさかのだーい告白!
♪ではでは、エレア王子からの一言まで3.2.1
エレア:『つくものことは好きだけど…ごめんなさい!!!』
キャー
キャハハ
♪失恋というのでしょうか(笑)
九十九王子、エレア王子ごちそうさまでした!
(VIPのA卓 つくもの卓)
エレア:「なんだよ!あれ!」
つくも:「盛り上がったっしょ?」
エレア:「いや、そーゆー問題じゃなくね?」
ボーイ:「エレアさん、ラスソン何にしますか?」
エレア:「俺、今、頭回ってなくて…。」
つくも:「じゃサプライズついでに一緒に歌おうぜ!」
エレア:「オー、助かる!」
ボーイ:「九十九さん何にしますか?」
つくも:「100万回のジュテーム」
エレア:「それ、キャラソンだろ、却下」
つくも:「んじゃ、stand by me」
エレア:「俺、英語歌えねーよ。」
つくも:「ワガママなやつだな。
んじゃ、GReeeeNのキセキ」
ボーイ:「かしこまりました。」
(曲が流れ始める)
♪明日、今日よりも好きになれる 溢れる想いが止まらない
今もこんなに好きでいるのに 言葉に出来ない
君のくれた日々が積み重なり 過ぎ去った日々2人歩いた『軌跡』
僕らの出逢いがもし偶然ならば? 運命ならば?
君に巡り合えた それって『奇跡』
2人寄り添って歩いて 永久の愛を形にして
いつまでも君の横で 笑っていたくて
アリガトウや Ah 愛してるじゃまだ足りないけど
せめて言わせて 「幸せです」と
(閉店後)
ガチャ
店長:「おー、やっと最後の客返したか。」
エレア:「はい。ってかつくもは?」
店長:「お前が送りに行ってる間に帰ったぞ。」
エレア:「でもエレベーターで会いませんでしたよ?」
店長:「酔い醒ましに階段で帰るってよ。」
エレア:「あいついったいなんだったんだ?」
店長:「それより、お疲れさん。
7月からだから、三ヶ月だけどよく頑張ってくれたな!」
パン パンパンパン
店員一同:『エレアさん。お疲れ様でした!』
(花束とドンペリが渡される)
(店員、次々にプレゼントを渡す)
エレア:「みんな…。
お世話になりました!!!」
店長:「ほら、これ以上は湿っぼくなるから、お前はもー帰れ。」
エレア:「はい、ありがとうございました!
失礼します!」
(タクシーの中)
エレア:「終わったー!
最後まで潰れずによく頑張った、俺は!
ってか、つくもの登場で一気に酔いが冷めたわ。なんだったんだよ。
仕方ねー学校で聞くか…。」
(エレアは、そのまま家に着くまで眠り続けた)
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