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第92場 新宿ゴールデン街
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【第92場 新宿ゴールデン街】
(ほほカウンターばかりの店)
やくざえもん:「ちょっと汚ねー店だが、たまにはこーゆーとこもいーだろ。」
つくも:「ゴールデン街は外国人多くて目立たないんで、よく来てました。
でもこの店、無理やりBOX席作ったって感じで、一席しかないのに、占領していいんですか?それに外国人多いすね。」
やくざえもん:「いーんだよ。ここは、まぁわかりやすく言うと、ナンパバーだ。
外国人目当ての日本人のネーチャンと、そのネーチャン狙いの外国人のための店。
カウンターでやり取りして、気が合えばドロン。BOXなんてめったに使わねーんだ。」
つくも:「なるほど。理解しました。」
やくざえもん:「今日はもう疲れたか?」
つくも:「いや、全然です。
ミゲルさんの選ぶ服のセンス良すぎてテンション上がりました。しかも着たやつ全部送ってもらっちゃって、なんか、すいません。」
やくざえもん:「気に入ったら、また寄ってやってくれたらいい。
で、まずはお前の生い立ちから聞こーか。
話せる範囲でいいから、ウソはなしな。」
つくも:「わかりました。
俺はばーちゃんが日本人でじーじゃんが在日アメリカ軍で、母親がハーフ、父親がアメリカ人なんで……
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そんなんで、夜の世界ではヒエラルキーのトップまで行けました。
前も言いましたけど、18の時に手引いてるんで、今はほとんど関わってません。まぁ、お世話になった人もいるし、敵ばっかでもないんで、繋がってるやつは繋がってますけど。」
やくざえもん:「お前がどん底からのし上がったのは、わかった。
…お前、家出するとき一悶着あったろ?」
つくも:「それは黙秘でお願いします。」
やくざえもん:「んー、しかるべき時の条件揃ってきたな。」
つくも:「どういう意味ですか?」
やくざえもん:「それは黙秘でお願いします♡」
つくも:「はい…。」
やくざえもん:「お前一瞬めんどくせーって思ったな?ジジイになるとみんなめんどくせーんだ。お前もいつかジジイになれば分かる!」
つくも:「今のうちにアンチエイジング頑張ります。」
やくざえもん:「で、企業したいって話は?
なにやりてーんだ?」
つくも:「16から水商売か裏稼業しか知らないんで、やるのはまぁ最初はホストのつもりです。」
やくざえもん:「やっぱりな。
だから、早慶にしろって言ったんだ。
東大卒のホスト社長なんて面白くねーからな。
で、続きは?」
つくも:「並行して、ラブホ経営考えてます。
新宿や横浜にあるリゾートホテルとラブホの中間みたいな店ありますよね?あれはアジアン風でやってますけど、俺は和洋折衷で新宿でも外国人の多い地域に建てるつもりです。
まぁ、今は都政も厳しいんで、場所がどれくらい選べるのかわかりませんが。
ラブホは回転率さえ上げれば、利回りはいいんで、資金源のつもりで建てたいと思ってます。」
やくざえもん:「へー。ラブホが利回りいいのは知ってるんだな。んで?
どうせならデカイ夢語れ。」
つくも:「もしホストが軌道に乗れば、キャバクラも開きたいですね。」
やくざえもん:「ちょっと待て。お前の経験値でホストってのはわかるが、なんでキャバクラなんだ?キャバクラ好きには見えねーぞ。」
つくも:「…これは、あくまでも理想と言うかホントに夢のまた夢ですが、俺、いつか駆け込み寺作りたいんです。
違法になりますけど、12~18くらいで家出して、ヤバイ話とかに関わりそうな危ないやつ集めて、18で店で働けるようになるまでは掃除でもなんでもさせて、18になったら店で雇ってやりたいんです。そのためには男だけじゃなく女用も用意しないと。」
やくざえもん:「甘ちゃんだな。」
つくも:「ですね、自分でもわかってます。
でも、俺はギリギリの一線で助かったけど、助からなかったヤツも多く見てきたし、もし1人でも救ってやれるなら、救ってやりたい。」
やくざえもん:「甘ちゃんだが、嫌いな考えではない。その夢とやらが実現するのは10年や20年じゃまだまだ足りないくらいだろうけど、ジーさんになった時にでも実現できてりゃいいんじゃねーか?」
つくも:「そうですね。焦ってはいないし、表社会だけじゃなく、裏も絡んで来るんで、いつどうやるかは慎重に考えます。」
やくざえもん:「で、たくさん理想論を語ってくれたつくもくんだが、頭金は持ってるのか?」
つくも:「16ん時からホストでトップ張ってきて、デカイ買い物とかもしてないし、FXとかでも稼いでるんで、こんくらいです。」
(つくも手で数字を表す)
やくざえもん:「今日2回目のヒューだな。
さすが、夢だけ見てる赤ん坊ではなさそうだ。
なら、そんなよちよち歩きのガキに、俺が一つアドバイスしてやろう。」
つくも:「なんですか?」
やくざえもん:「ホストの話、すぐに店舗探し始めて、二十歳になった時オープンできるようにしろ。」
つくも:「なんで二十歳ですか?」
やくざえもん:「あー、二十歳ってのは大人で、自分でケツ拭けるからだ。
それと、大学在学中に現役大学生がオープンってなりゃ、プレミアが付く。
ただし、大学名は卒業するまで伏せろ。
慶応大生がホストってなると、大学クビになるとまずいからな。
慶応卒業するまでの間、金で動いてくれる大学、つまり名前だけ拝借する大学は、夢を聞かせてくれたサービスで俺が探してやる。
で、大学卒業と同時にリニューアルオープンして、イベントにして大学発表しろ。そーすりゃ金になる。」
つくも:「そうなると、ホントにすぐ店舗探しですね。」
やくざえもん:「心配するな。丸投げはしねー。
不動産もやってっから、そのツテで探してもらえるように手配はしてやる。
後は、店のコンセプトとか明確にして、人集めの方法を考えろ。」
つくも:「コンセプトはまだ言葉に出来るほど明確じゃないですが、人集めは考えてます。
裏稼業やってたときで、裏と手切ったけど、まともな職につけてないヤツらいるんで、まずそいつらにスカウトさせる話を高利で話持ってきます。
あとは歌舞伎町全体に、『元blue moonの九十九が新店オープンで引き抜きしてる』って噂流します。幸いライバル店にも崇拝してくれてるやつらがいるんで、多少の動きはあると思います。一人でも名前売れてるやつが動いてくれたら、後は早いと思うんで。」
やくざえもん:「なるほど。それなりに考えはあるんだな。だが全てが上手く行くことを想定して動くな。常に最悪の事態も想定しておけ。
あと、ビジネスやるなら、携帯は分けろ。
自分のオンオフが効かないやつは、ビジネスでは成功しねーってのが経験談だ。」
つくも:「ありがとうございます。
俺の、ガキの夢に一緒にノってくれて。」
やくざえもん:「ばーか!
世の中そんなに甘くねーぞ。
俺はお前の今の話から、ビジネスチャンスを3つも見つけたから、明日から動く。」
つくも:「え?どっから?何をですか?」
やくざえもん:「俺は金になるって決まってから話すタチでな。
ま、心配すんな。
お前の夢を邪魔したりするようなことじゃねーから。」
♪ブブ
やくざえもん:「来たか?」
つくも:「はい。予想通りの写真でした。
出来の良さに驚いてますけど。」
やくざえもん:「うちのスタッフは腕利きを揃えてるからな。その写真を使うタイミングは、また教える。
とりあえず、今日は真面目に仕事もしたし、真面目な話もしたし、飲むぞー!」
つくも:「え?津田さん仕事してましたっけ?」
やくざえもん:「聞こえんなー。ほら飲め!」
(その後、2人ともベロベロになるまで飲み、お互いタクシーで家にたどり着いた)
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