アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
19
-
「君達はぶつかったことがないんだね」
僕が話すと保険医はそう言った。
「ぶつかる…?」
「うん、
されて嫌だったとか不満とか不安、
何一つ君は彼に言ったことが無いんじゃないかな?」
そう言えばそうだった。
僕はいつも我慢をしていた。
彼は僕の本音をずっと待っていたのだろうか。
「我慢することも大事だけど、
会話をしなきゃ。
ケンカでも普通のことでも…さ。
彼からの思いが
君へ一方通行に聞こえたよ。
互いを互いに想いあってるからこそ、
すれ違って今も、
心が痛いんじゃないかなぁ」
そのあとに幸せになれないよとまで言われた。
目の腫れが引いたのはもう放課後だった。
保険医にお礼を言って、
僕は保健室を出た。
なんて言ったら良かったんだろう。
なんて言えば良いのだろう。
僕はそんなことばかり考えていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
19 / 133