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〜友人〜
それから暫くの間、
俺はその人のところにいた。
「そう言えば、
いつ帰るの?」
「…帰りたくねぇ」
「我儘だね、
彼の友人なのに。」
この人は本当に綺麗に笑う。
「ダメなのか?」
「俺はいいけど、
ちゃんと親御さんには連絡してね」
「やった…!」
どうしても帰りたくなかった。
帰ってまたこの人が傷ついた顔をするのが俺には耐えられない。
「なあ、
名前…教えて」
「今更だね、
俺は桔梗。
由来は目の前に綺麗な桔梗の花が咲いていたからだそうだ」
「桔梗…」
綺麗な響きだ…。
この人にぴったりだと俺は思った。
「じゃあ、
君は?」
「俺は椿」
「椿…かっこいいね、
俺と同じ花の名前だ。」
「由来は、
自分の人生を後悔なく花々しく散ってほしいからだってさ」
「後悔なく…」
桔梗はまたしょげた顔をする。
「…桔梗はあいつの名前知ってるの?」
名前を呼んでいたとこを見たことがない。
「彼は頑なに教えてはくれなかった。
だから俺も名乗ることが出来なかった」
俺は驚く以外のことが出来なかった。
「っ名前って付き合う前じゃねぇの?」
「うん、
でもさ…好きって言ってくれたことが嬉しかったんだよ俺は」
俺は台所に立つ桔梗に抱きつく。
「椿?」
「俺じゃダメなのか?」
「え…?」
「あいつの代わりにはなれねぇかもだけど、
俺じゃダメか?」
自分でも驚いている。
だけど思ってしまった。
好きって気づいてしまった。
俺が桔梗を支えたいって…そう、
思ってしまった。
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