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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ1
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洋side
初めて会ったのは、少年院の中だった。
1日のうち唯一与えられる自由時間。
ソイツは暗い雰囲気の少年院には不釣り合いな奴だった。
柔らかな空気と穏やかな雰囲気。
正直印象としては、あまり好ましくなかった。
けれど興味を引かれたのも確かだった。
彼と話した後は、誰もが皆、笑顔になるから。
「…なぁ、」
俺は近くにいた奴に声をかけた。
普段あまり人とは言葉を交わすことはないので、話しかけた奴は驚いた顔をして俺を見る。
「アイツ」
「アイツ?ああ、立花 直(タチバナ ナオ)か。」
「アイツ何でここ入ったんだ?」
「よく知らねーけど、親殺したらしいよ。」
「………へぇ」
それから俺は立花直に目を向けるようになった。
その性格を表すような明るい色の髪が俺の目を奪う。
本当に親を殺してこんなところに入ったのだろうか……?
あんなに、柔らかく笑う奴が……。
そう思い掛けて止めた。
人は見かけによらない。
それは世の中の摂理だ。
興味を持ったのは認めるが、だからと言ってそれ以上関わろうとは思わない。
だからそれ以上の詮索などしなくて、結局俺は一度も声を掛けることも掛けられることもなかった。
ーーこれは奇妙な奇妙な運命の巡り合わせだったんだ。
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