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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ2
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洋side
長く拘束された身は、今日、呆気なく自由を手に入れた。
釈放だ、と短く告げられ、突然外の世界へ放り出された。
入った時は160cm足らずだった身長も、今では180cmに届いている。
あの頃見ていた景色とは少し違う外の世界で、俺を待つ人は誰もいない。
さて、どうしたものかと暫く入口に佇んでいた。
行く宛などない。
年齢24ともなれば立派な成人ではあるが、入った時は未成年。
俺の時間はあの日のまま止まっている。
どこへ行けば良いのか、何をすれば良いのか、何をしたいのかさえ分からない。
だから一歩も踏み出せず、ただただ佇むしかない。
「ーーあれ?」
ふいに後ろから声がした。
振り返ればそこには見覚えのある顔があった。
「貴方も今日出所ですか?」
ふわりと笑った顔は間違いなく立花 直のものだ。
「……………」
「ああ、すみません。そう言えばこうして話すのは初めてでしたね。」
失念でした、と立花は言った。
「何度かお声かけしようと思ったんですけど、あまり話すのは好きじゃなさそうだったので…。でも一度お話ししてみたかったので、今嬉しいです。」
ニコッと笑う顔は人懐っこい印象だ。
「もしよかったら少し一緒に歩きませんか?こうして同じ日にってのも何かの縁かもしれませんし。」
少し間を空けて、俺は黙って頷いた。
隣に並んだ立花は俺より少し身長が低いぐらいで、思っていたより目線が高かった。
「どうしました?」
俺の視線に気が付いて、立花は見上げてくる。
「いや……」
「あ、もしかしてこの髪色ですか?」
意図しない問いに俺は首を傾げた。
立花は自分の赤茶の色を指先で掬い上げる。
太陽の光を浴びている今、その色は更に明るく見える。
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