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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ3
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「これ生まれつきなんです。やっぱり気持ち悪いですか?」
少し目を伏せながら立花は自嘲気味に笑った。
「昔、よくこれで苛められて…」
その言葉に俺は疑問符しか浮かばなかった。
「………どうして?」
「ぇ…………」
「………どうして?俺は、綺麗だと思った。」
別に気を使ったわけではなく、純粋にそう思っただけの事。
なのに立花は驚いたように瞠目し、それからまたふわりと笑った。
「ありがとうございます。そう言ってくれるのは貴方で二人目です。」
昔を懐かしむように立花は言うが、それ以上の詮索はしない。
「倉橋…」
「え?」
「貴方じゃなくて、倉橋 洋(クラハシ ヨウ)」
立花は意外そうな視線を寄越す。
「名前、お呼びして良いんですか?」
「貴方呼ばわりされる方が気持ち悪い。」
ぶっきらぼうに返せば、隣からはクスクスと笑い声が聴こえる。
「では倉橋さん、そう言えば僕も名乗っていませんでしたね。立花 直です。お好きに呼んでくださって構いません。」
ああ、とやる気のない返事をすればまた笑い声がした。
「……よく笑うんだな。」
「笑っていれば幸せがやって来ると聞いたので。」
「幸せ、ね……」
昔、そんな事を神様に願ったこともあった。
けれど現実は残酷で、神様なんて居やしないと、いつも嘲笑われている気がした。
「ちなみに溜め息は幸せが逃げていくらしいですよ。」
ふふ、と笑ったその表情に、またしてもあの疑問が浮かび上がる。
「………なぁ、アンタがあそこに入ってた理由って親を殺したんだっけ?」
途端、立花の表情は曇り、目を伏せた。
まあ、こんなこと訊かれていい気分な人間はいないな。
「……軽蔑しますか?」
視線は上げられないまま、ポツリと言葉が聞こえた。
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