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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ15
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家に着いたのは午前4時過ぎだった。
タクシーから降りてアパートの一階、角部屋の窓を見れば電気がついていた。
まだ起きてるのか……?
立花の性格から寝落ちした、なんてことはないだろう。
ポケットから鍵を取り出し、ゆっくりと回す。
………開いてる。
怪訝に思い、ドアノブに手を伸ばしかけた瞬間、勢いよくドアが開いた。
ドアは外開きタイプで、咄嗟の事に避けきれず、ガンっという衝撃が額に走る。
「あ、お帰りなさい!」
「…………その前に言うことあるだろう。」
「え?えっと……あまりに遅かったので、何かあったのかなって……お怪我とかありませんか?」
「……アンタが今ドアを開けるまでは無傷だった。」
呆れたように言えば、立花はようやく理解したようで、慌てて俺の額を確認する。
「ご、ごめんなさい……その……」
こいつ……かなり動揺してるな。
額に伸ばされた手をとる。
それはひどく冷たかった。
「………落ち着け。もういいから。」
「すみません。と、とりあえず中へ。」
立花が道を開け、中へと入る。
ダイニングにはラップが掛けられた夕食。
立花の分も残っている。
「……飯、食わなかったのか?」
「はい。お帰りの時間が分からなかったので…」
バカなやつだな、と思った。
恐らく食事は一緒に取るというルールを守ったのだろう。
「いくらルールがあると言ってもこんな時間まで待つ必要はない。これから先、仕事をしていれば遅くなることだってある。」
「…………はい。わかってます。すみません、僕が食欲なかっただけなんです。次からは気を付けます。」
頭を垂れる姿に、何故だかイラついた。
「………怒ってる訳じゃない。」
「わかっています。倉橋さん、本当は優しい方ですから。」
ああ、やっぱり雪見と立花は似ている。
俺を優しいだなんていうのはお門違いだ。
「………シャワー浴びる。」
「ご飯、どうしますか?」
「食う。」
「分かりました。」
俺がシャワーを浴びている間、温め直すのだろう。
立花はダイニングとキッチンを行き来し始め、俺は浴室へ足を運んだ。
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