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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ19
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雪見のアパートへ戻ってたのは午前6時を少し過ぎる頃だった。
部屋のドアが見える脇道に身を隠す。
立花も俺に倣うようにその身を隠していた。
「倉橋さん、今回はどんなお仕事なんですか?」
ここまで何も言わずについてきた立花は、今更過ぎる質問を投げ掛けてくる。
「ボディーガード。ストーカー被害に遭っているらしい。被害者の身の安全と犯人確保が仕事だ。」
ストーカーと聞いて立花は眉を寄せた。
店長との一件以来、そう言った類いのものに嫌悪感を抱いているようだ。
「犯人、僕達で捕まえてやりましょうね!」
と、やたら張り切り始めた。
「……頼むからアンタは余計なことするなよ。自分の身だけ守ってろ。これは俺の仕事だ。」
念のためと言って利かせるが、はいはいと生返事をするだけで本当に分かっているのか疑問だ。
それから会話は途切れ、俺は見張りに集中する。
随分静かだなと隣を見れば立花はコクリコクリとうたた寝をしていた。
俺の帰りを待って寝ていなかったんだろう。
生活が規則正しいコイツには堪えるだろうな。
俺は三日三晩寝ずとも割りと平気な方だ。
雪見が出てくるまではこのまま寝かせておこうと、
そっとしておくことにした。
午前8時40分、雪見が部屋から姿を見せた。
キョロキョロと辺りを見渡している。
きっと俺のことでも探しているのだろう。
すっかり座り込んで寝てしまっていた立花を揺り起こす。
「起きろ、動くぞ。」
「ふぁぁ……すみません、眠ってしまって。」
大きな欠伸をして立花は目を覚ます。
目覚めがいいのが救いだな。
「彼が被害者の方ですか?」
アパートの前に立つ雪見を視界に入れ、立花は俺に訊ねる。
「ああ、行くぞ。」
短く返して、立花を連れ立ち雪見へと近付いた。
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