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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ39
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くるっと指先を回せば立花の体はビクッと跳ね、反応を示す。
キスマークを付けられたとき、コイツは店長とやらにもこんな反応を見せたんだろうか?
「……っ………く、倉橋さ……擽ったいです…っ」
立花の声で思考していた頭が一気に現実に引き戻り、触れていた手を引っ込めた。
「……悪い。」
「いえ……その何かありました?」
触れていた所に手を当てて、立花は少し頬を染めていた。
「考え事をしていて無意識だった。……すまない。」
気まずさを感じて目を逸らす。
「気になさらないでください。ぼーっとすることって良くあることですからね。」
重たい空気を何とかしようと立花は明るく振る舞ってくれる。
それでも次に紡ぐ言葉が見付からず、黙ってしまう。
「ーー何イチャついてんだ?」
不意に後ろから聞こえてきた声に、瞬時に振り返り、立花を背に隠すように後退する。
「油断大敵、無防備過ぎるぜ。」
声の主は帽子と眼鏡で顔が分かりにくいが、間違いなく律という男だった。
「仕事中なんだから集中してなきゃダメだろ。」
「……こんな時間になんだ?今日は泊まる予定だと聞いたが?」
男の機嫌は良くないようで、顔をしかめた。
「急な仕事が入ったんだよ。」
「こんな時間にか?」
「不規則だからな。……瀬のことちゃんと守れよ。もし傷なんか負わせたら、俺がお前を同じ目に合わせてやる。」
「仕事で受けている以上、必ず守る。」
俺とのやり取りを終えると、男の視線は俺の背中へと移っていく。
その目はまじまじと立花を見ていた。
背中の服裾がぎゅっと掴まれる感覚がした。
「お前やっぱ綺麗な顔してるよな。なぁ、モデルとか興味ない?」
「……いえ、僕は…………」
「絶対いい線いくと思うんだけどな。どう?俺の伝、貸すよ?」
「いえ、その………」
すっぽりとその身を俺の背中に隠した立花。
「……やめろ。」
仕方なく口を挟んでやる。
「ま、いいや。気が変わったら教えてくれよ。いつでも待ってるぜ。じゃあな。」
ヒラヒラと片手を上げ、男は去っていく。
その背中を見て、アイツとだけは気が合わないなと確信する。
「………もう行ったぞ。」
背中からなかなか出てこない立花に声を掛ければ、ひょいっと顔を覗かせた。
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