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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ40
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「こ、怖かった……。」
ブルブルと震える姿は何かを連想させる。
ああ、小動物に似てるな。
「でもあの人、どこかで見覚えがあるんですよね…」
考え込む立花を横目に雪見の部屋に注意を向ける。
このまま見張っていただけじゃ何も解決しない。
向こうが近付いてこないのなら、こちらからいくしかない。
「……立花」
「はい」
「このまま見張っているだけじゃ埒があかない。俺とアンタの二手に分かれよう。アンタはこのまま雪見に付いていてほしい。俺は雪見が大学へ行っている間もここに残って、ポストに写真を投函する男を捕まえる。」
雪見とストーカーが接触したのは一度きり。
ここで待つ方が合理的だ。
「…分かりました。」
「ただしそっちにストーカーが接近しない保障はない。もし、万が一の場合はすぐに連絡しろ。アンタは無茶しすぎる性格みたいだから言っておくが、自己犠牲は助けた相手を苦しめる。」
立花は俺を見て、少し微笑んだ。
「はい、分かっています。貴方はやっぱり優しい人ですね。」
「アンタは見る目がないな。」
「そうですか?結構自信あるんですけどね。」
それからまた会話が途切れ、そのまま夜が明ける。
陽が昇り、朝が来る。
雪見がアパートから姿を見せ、二手に分かれる手筈を伝えた。
主に俺が危険じゃないかと危惧していたが、最後は渋々納得したようだ。
「あの、本当に大丈夫ですか?」
大学へ向かう直前、雪見は俺に詰め寄る。
立花も同じことを言いたいのだろう。
雪見と同じ目をして俺を見ていた。
「俺のことはいい。俺は守られる対象じゃない。だから気にする必要はない。」
「でも……」
「いいから、もう行け。」
立花が雪見の肩に手を置き、笑んだ。
「倉橋さんなら大丈夫ですよ。」
「…………はい。」
立花に諭され、雪見はようやく足を動かした。
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