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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ48
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意識が朧気なのだろう。
呂律が回らなくなってきている。
「何度も言わせるな。アンタは俺と生きると約束しただろう。」
「約、束……」
「死ぬなんて許さない。」
熱い頬にそっと触れた。
「この感情を何と呼ぶのか俺には分からない。でも確かに言えるのは、アンタを失いたくないって思ってる。」
聞こえていたかは分からない。
けれど立花は少し笑んで、それから意識を手放したようだ。
それからスマホで時間を確認すると丸1日寝ていたことに気が付いた。
時刻は23時過ぎ。
………本当は病院に行くのが懸命なんだろうが。
あの嫌がりよう………。
少し思案してコートを羽織る。
立花を抱え、部屋を出た。
元々この辺りは人通りが少ない。
夜なんて尚更だ。
振動が負担にならないよう慎重に走った。
何かにすがっていないと辛いのか立花の手がシャツの胸元を掴んでくる。
その行動に胸が痛んで、強く立花の身体を抱えた。
目指していたビルが見え、階段も駆け上がる。
そのままの勢いで見覚えのある『何でも屋』のドアを叩いた。
少しして欠伸をしながら上月がドアを開けた。
「ふぁぁ……誰だい、こんな時間に……。もう今日は店仕舞ーー」
言い終える前に上月は瞠目して俺達を見た。
「ーー依頼人として来た。コイツを助けてやってほしい。」
相も変わらず苦しげな呼吸をする立花に上月は眉を寄せた。
「とりあえず中に。」
そう言われ、大きく開かれたドアを潜る。
「奥の部屋にベッドがある。そこに寝かせてあげよう。」
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