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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ54
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「好きなんだろう?彼のこと。」
上月はベッドの上の立花を見る。
「……分からない。好きだとか愛だとか、そんなもの俺にはなかった。それがどんなものなのか俺には分からない。」
俺もまた立花に目を向けた。
「好きってなんだ……?」
「……好きの形は人それぞれ。触れたい、キスをしたい、セックスをしたい、それが好き。自分にとって必要だ、大切にしたい、守りたい、傍にいたい、それもまた好き、だ。」
ゆっくりと上月は立花に近付く。
「けど、これはほんの一例で。好きって感情を言葉で表すのは難しい。例えばーー」
上月はベッドの横で足を止め、立花の頭の横に手をつく。
「おい?」
「ーー彼、すごく綺麗な顔だから……うん、全然ありかな。」
上月は俺をちらりと見て含み笑いを見せた。
それから空いている手で立花の顎を掴む。
上月がゆっくりと立花に顔を近付けていく。
唇が触れあう瞬間、意図が分かり、気付けば思い切り上月の身体を突き飛ばしていた。
「ーーやめろ。触れるな。」
「恐い、恐い。冗談だよ。君は今、僕が彼に触れることを嫌がった。それだって好きってことさ。」
「…………」
「もっと別の言葉で言うとヤキモチってやつだね。」
上月はいつもの調子で笑っている。
確かに上月が立花に触れようとしたとき、胸がムカムカして、熱い何かが渦巻いた。
「……俺もコイツも男だ。」
「それって何か問題なの?こういうのは当人たちの問題で、周りは関係ないよ。」
それは最もらしい言葉で、不覚にも格好いいなんて思った。
「…………世話になった。連れて帰る。」
「車、出してあげるよ。さすがに朝から抱えて運んでいたら怪しまれるだろう?」
特別タダで、という上月にアパートまで送られ、俺と変わらず眠ったままの立花は帰宅した。
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