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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ56
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直side
それは一瞬、時が止まったかのようで………
今、倉橋さんは何と言った?
「ぇ…………?今、なんて?」
「アンタが好きみたいだ、と言ったんだ。」
動じることのない冷静な顔をして、倉橋さんはとんでもないことを口走っている。
好き……
好きって………
「あの、それってどういう……その、好き、なんですか?」
「どういう?好きにも種類があるのか?……言葉にするなら、誰にも取られたくない、傍にいたい、色んな顔をみたい、触れーー」
「ーーわあああ!分かりました!ちょっ、ストップ!」
な、なななななんで?
一体僕が寝ている間に何があったんだろうか……?
こんな、こんな………
冷静な顔して言うことじゃない!
「あの、えっと……何故このような展開に?」
「自分でもよく分からない。好きだとか愛だとか俺には分からなかったが、他人の知恵を借りるなら、俺がアンタに抱く感情は好きということらしい。」
まるで他人事のように倉橋さんは言う。
「それはあの、僕とお付き合いしたいとか言う……?」
「付き合う?そうか、好きならそういう事になるのか?それで付き合うって具体的に何をするんだ?」
「ええっと……一般的にはデートしたりキスとか……え、エッチとか………」
「……ん、わかった。それでいい。」
あっさり受け入れようとする倉橋さんに対して、僕の方は未だ頭が混乱している。
「ちょっ、ちょっと待ってください。」
「ん?嫌か……?」
「嫌と言うか……いえ、僕もたぶん倉橋さんのこと好きだと思うんですけど……気持ちもすごく嬉しいんですが……」
「じゃあ何が問題だ?」
倉橋さんが嫌いな訳じゃない。
むしろその逆……
けれど、僕は………
「互いに詮索はしない、そういうルールでしたが……僕自身から語るのはノーカンですよね?」
「……ああ」
「……では、聞いてくれますか?僕の懺悔を。」
僕は………人を好きになるのが
「あの日の、罪を。」
ーー堪らなく怖い。
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