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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー1
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直side
僕は一度目を閉じて、記憶を呼び戻す。
「僕は酷く汚い人間です。」
「……………」
「僕は両親と弟が一人の4人家族でした。ごく普通の幸せな家庭だった。それを壊したのは紛れもなく僕でした。」
ーーーー
それは10年前の記憶。
優しくて朗らかな母、少し厳しいけれど家庭を守ってくれる父、甘えん坊な弟。
何も文句はなかった。
何も不自由はなかった。
幼い頃から自分の髪色で苛められることがあった。
家族で僕だけが異質な髪色をしていた。
僕は酷く悩み、自分の髪色を呪うくらいに嫌いだった。
けれど母はそんな僕にいつも笑いながら、気にすることはないと諭してくれた。
「いいのよ、周りは気にしなくて。それに直の髪色、私は綺麗だと思うな。羨ましい。」
僕は母が大好きで、もちろん家族も大好きだった。
歪なヒビが入ってしまったのは、僕が14歳になったとき。
優しかった母、それは変わらずだったけれど僕に向ける愛情がだんだんと変化した。
ちょうどその頃父の仕事が忙しく、なかなか家に帰ってこられないことが多かった。
今思うと母はきっと寂しかったんだと思う。
その寂しさを僕にぶつけていた。
「直、大好きよ。愛してる。ねぇ、直も私が好きよね?」
最初は僕も戸惑った。
でも母を好きな気持ちに変わりはなくて、僕は受け入れてしまった。
その内求められるレベルが上がっていって、抱擁やキスをして………
頭ではいけないことだと分かっていて、それでも一度知ってしまった温もりを手放せなくなっていた。
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