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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー4
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「こんな腕一つも振りほどけない奴に、傷つけられるほど落ちぶれちゃいない。」
「……………………」
倉橋さんは僕の腕を離して、優しく手首を持ち上げる。
「…少し強く握りすぎた。」
「大丈夫です。痛みも特にありませんから。」
少し赤くはなったけれど痛みがないのは本当だった。
「……どんな過去があったとしても、アンタに抱く気持ちに変わりはない。」
「でも僕は………」
「アンタが怖がってるのは相手を傷付けることじゃない。自分を許すことだ。」
心を揺さぶられる感覚がする。
「……前にも言った、神に許しを乞うっても何にもならない。」
「………………」
そうだ。
僕は誰よりも、自分が許せなくて……
あの日から1歩も前に進めていない。
「それなら……」
もし、たった一人でも……
「貴方が僕を、」
僕を許してくれるなら、
「ーー許してくれますか?」
僕はまた人を好きになっても良いだろうか。
伸ばした手を倉橋さんが掴む。
「ーー俺にはアンタを咎められるほどの人間性なんて持ち合わせちゃいない。だから、許してやるよ。」
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