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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー9
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「僕もそれ一口食べたいです。」
あ、と口を開けた立花にクレープを近付ければ、パクリと食らいついてくる。
「ん!こりぇもおいひいでふね!」
「……だからどっちかにしろって」
気持ちは呆れているんだが、口許が自然に緩む。
「ふふふ、何だか不思議です。こうして倉橋さんと過ごしてるって。」
それは俺の台詞でもある。
「そう言えば雪見くんのストーカー、無事捕まったんですよね?」
「ああ、アンタのお陰でな。加害者は知り合いでも何でもない、ただの変質者だ。以前、電車の中で雪見を見掛けて、一目惚れしたらしい。傍迷惑な奴だ。」
「そうだったんですか……。また雪見くんにお会いしたいです。」
「……また会いに行けばいいだろう。いつでも会える。」
「そうですね。あ、治療をしてくださった方にもお礼を言いたいのですが…」
その発言には眉を潜める。
極力、上月とは接触させたくない。
「……俺から伝えておく。」
「でもこう言うことは自分で直接言うべきかと…」
ジーっとこちらを見つめてくる目は無駄な圧力を感じる。
結局先に折れたのは俺の方。
「……ちっ、分かった。連れていく。」
「ありがとうございます。」
「……アンタも大概頑固だな。」
「ふふふ、誉め言葉として受け取っておきます。」
少し偉そうな態度にイタズラ心が芽生える。
立花の顎に手を掛けて、こちらに向かせる。
「え?な、なんですか?」
「……動くな、じっとしてろよ。」
動揺する立花を制して、顔を近付ける。
目と目が合わさると立花はぎゅっと瞼を閉じた。
その様子に、ふっと笑ってしまう。
それから立花の口元に近付いて、唇の端を一舐め。
パッと解放してやれば、立花は顔を真っ赤にさせて、口元を押さえた。
「なっ……」
「チョコ、付いてた。」
「く、口で言ってください!自分で取れます!」
「……言う方が面倒臭かっただけだ。」
恥ずかしいと顔を覆った様子を見て、俺は満足感を味わった。
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