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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー10
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直side
正直、今の状況にまだ心が追い付いていない。
先日倉橋さんが映画に連れていってくれた時も嬉しかったけれど、恥ずかしさが勝った。
何だか落ち着かない。
今だって……
「あ、あの!」
「…ん?」
「その何してるんですか?」
お昼ご飯を食べ終え、僕は食後の珈琲を淹れようとキッチンに立った。
それは日常の光景だったのだけれど、一つだけいつもと違うことがある。
何故か隣に並ぶ倉橋さんの姿。
しかもその視線はこちらをジーっと見つめてきている。
「……見てる。」
「な、なぜ?」
「見ていたい。理由が必要か?」
真剣な顔で首を捻る姿は何だか少し可愛い。
「ずるいです…」
「何が?」
「何でもないです。珈琲淹れましたよ。」
マグカップを差し出せば、相変わらず無愛想にそれを受け取っていく。
僕も自分の分を手にして、ソファーへ移動した。
並んで腰掛け、一息つく。
「……これ飲んだら事務所に行く。」
「あ、何でも屋さんのですか?」
「ああ、アンタも連れていく。」
あまり気乗りしない様子で倉橋さんは言う。
「はい。ちょっと緊張しますね。所長さんってどんな方なんですか?」
「………変人。」
「そういう事ではないんですが…」
倉橋さんは珈琲を飲み始め、これ以上言うことはないと口を閉ざした。
まあ、会ってみれば分かりますよね……。
なんて一人心地に納得して、僕も珈琲を口へ運んだ。
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