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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー11
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倉橋さんに連れられて来たのは、いかにも怪しげな古びたビル。
進んでいく背中を追って階段を上がる。
足を止めた先には『何でも屋』の看板とあまり開けたくないドア。
倉橋さんは慣れた様子でそのドアを開け、中へと入っていく。
僕もそれに続いて中へ入る。
ビル自体は古びていたが中は綺麗に片付けられている。
「やぁ、倉橋くんと……珍しいお客さんだ。」
中のデスクに腰掛けていた男性が倉橋さんから僕に目を移して、にこやかに笑う。
男性は立ち上がり、僕らの近くで足を止め、手を差し出してきた。
「一度会っているけれど、君にとっては初めましてかな?何でも屋所長の上月 颯です。よろしくね。」
差し出された手は挨拶の握手だと理解して、その手を握り返す。
「た、立花 直です。この間は助けてくださってありがとうございました。」
「うん、すっかり元気そうだね。」
「はい、お陰様で。」
何だか想像していた人と違って優しそう。
「……おい、いつまでそうしてる。」
僕達の様子を横目で見ていた倉橋さんが、僕の手を握っていた上月さんの手を振り払う。
「あれ?倉橋くん、もしかして自覚したの?へえ…そっか、そっか。」
上月さんは怒るでもなく、ニヤニヤと倉橋さんを見る。
「でもそんなに独占欲強いと嫌われちゃうよ?」
「……うるさい。関係ない。」
「ふーん」
上月さん……
絶対倉橋さんで遊んでる。
ムスッと不機嫌な倉橋さんとニヤニヤ楽しむ上月さん……
この二人、相性悪そうですね……。
どうしたもんかと悩んでいたら、カチャッと扉の開く音が鳴った。
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